6-1. 山岳科学研究イニシアティブ部門

(1)部門概要

(2)メンバー

(3)令和2年度の取り組み概要

令和2年度は2回のイニシアチブ会議を開催し、山岳科学センターの重要な案件である以下の2件について議論を行なった。
1 MSCの大型予算獲得と論文数増加に関する方向性について
MSC内の機能強化のためにセンター内でいくつかの研究課題について研究費の支援を行い、大型予算獲得をめざす。また論文数増加に関しては教員が一人一人が日々努力を積み重ねていき一層の活性化を図る。
2 各ステーションのの研究及び教育の方向性について
各ステーションの特徴を出すために、菅平高原実験所はフィールドICTミュージアム化、生態系管理と山村振興、菅平湿原の農地-湿原生態系の防減災と持続可能性の3つの総合研究課題を設定して菅平の特徴を生かしたステーションを目指す。八ヶ岳演習林は、現在問題になっている中部横断道路と自然環境保全の観点から「人間活動と地域自然環境との調和」、および川上演習林で行なっている更新伐に伴い生物多様性保全などの観点を取り入れた「地域に根差した林業施業確立」を目指して教育と研究を行なっていく。井川演習林は南アルプスの山岳自然環境におけるフィールドを活用し,山地保全学および森林生態学を軸とする多様な山岳科学分野の研究教育活動を推進することを目指す。筑波実験林は立地環境を考慮した里山管理・保全、活用に関する研究推進を目指し、身近な植物と昆虫・寄生菌類の生物間相互作用の解明、里山の外来種管理・希少種保全、植物フェノロジー(生物季節学)・産地試験設置による長期観察を重点的に行なって行く。

第1回会議(MSCの大型予算獲得と論文数増加に関する方向性について)

【議 題】MSCの大型予算獲得と論文数増加に関する方向性に関する打ち合わせ
今回の会議では山岳科学センターの中間報告の厳しい結果を踏まえて今後の方向性を議論し議事次第に沿って結果・原因を解明し5年後の最終的な期末評価時に向けて今以上の評価が得られるかについて議論した。

1.MSC中間評価結果 2.MSCの学内での位置付け 3.MSCのKPIと達成状況
MSCセンターは現在R3(重点育成研究拠点)に位置し、事前に報告してあるKPIに基づいて中間評価が行われた。報告した中で達成されていないのが研究・外部資金獲得で論文が少なく、大型研究費が採択されていない。この二つが強く指摘されこれが不足している為、評価Cという結果に至った。

4.MSC論文数と獲得予算、生命環境系の教員の論文数
 発表論文数には波があるが、平成29年、30年は論文数が多いが、平成元年は減少している。生命環境系全体で見ると、若手の教員は、教授に比べると論文の件数が少なく研究費を持っている教員が論文を出しているという傾向にある。山岳科学センターとしては,今後大型予算を獲得していき、それに伴って論文数も増えていくとと考えられるので、それに向かってどのような方向性を打ち出すか議論しなければならない。
 期末評価に対しては研究業績数の再度の見直しが必要。論文数だけではなく、外部資金を代表で採択されていないことがマイナス要因であったり指摘されているように感じた。今後そこをクリアしていかなければならない。

5.各プロジェクトの今後の大型予算獲得の方向性
【廣田先生・・茅場プロジェクト】
 現在、研究そのものはコロナの影響もありあまり進んでない。MSCの方々以外にも多くの方々にも係っていただいていて多様な内容になっている。予算申請を動いていたが、自分自身が研究代表者になる大型予算は採択されていない。個々の調査としては、文化庁ふるさと文化材の森の事業登録地での調査を開始した。リサーチユニットとの合同のワークショップ今年度2月に実施予定。フリーペーパーを出し研究者のみならず広いところに情報共有しながら研究を進めていきたいと考えている。科研にはなかなかそぐわないという印象があり今後、持続可能性に対して支援をしている研究助成を狙っていきたいと考えている。
【徳永先生・・国立公園満喫プロジェクト】
 1月から動き出していて5Gのネットワークを使う関係で総務省に足を運び働きかけたが、国立公園には将来的にも対象にしないということで5Gを構想から外した。プロジェクトの話し合いを環境省と持ったが方向性に相違があり噛み合わなかった。外に向けて公開する為、Webinarを3回実施した。そこで感じたのがミラーワールドについてうまく説明できていない事がわかった。根幹になっているエコロジカルミラーワールドを作る方向へシフトしていくことにした。EMW構築の為に計算環境が必要と思いGPUを購入し、データが必要な為GproMaxの三次元カメラを4つの場所に設置しデータを集めそこからミラーワールドが作れるという発想に至った。バーチャルの中にミラーワールドを作る作業を学生たちも含め3人ぐらいでやり始めている最中である。住友財団へ構想をまとめて応募したが採択されなかった。今後の戦略としてはEMWを作り大型研究費をとりにいくのではなく少額でもいいのでEMWとはこういうものだということを提示し、知ってもらうことが必要である。引きこもりの人たちを研究に参画してもらう等、Withコロナにおける社会貢献のあり方を切り取って我々にできるということを示すことが先決ではないかと思う。
【津田先生・・野生動物管理プロジェクト】
 昨年度より長野県をベースに野生動物管理・遺伝解析等、他の研究も取り入れていろんな観点から野生管理をしている。コロナ禍でもツキノワグマ・外来魚の調査は大きく進捗している。コクチバス・アライグマの論文は投稿予定。科研申請状況は外来魚については挑戦的研究には申請。ツキノワグマとニホンジカはそれぞれ基盤Bの分担として申請。
【山川先生・・井川での防災、土砂移動プロジェクト】
 沢山の人に関わってもらっているがコロナの影響で現場になかなか行けない。この予算以外、含めて一緒に行っているものは信州大の先生、本学の田中先生と行っているものがメイン。井川では大規模な崩壊の地形や内部構造の研究をやり始めている。また洪水予測の現地観測継続を行っている。菅平では農耕地からの土砂が下流に冠水被害の問題があり、これからセットアップする。大型予算に向けてより幅広く連携していうことに難しさを感じている。今やっていることにより一層ステップアップさせてやっていくしかない。

【発言要旨】
 SDGs等、環境との係わり合いを大事にすることに政府も民間も力を入れているので、今後民間をターゲットにしたらいいのではないか。色々な観点から議論できるような課題があるので継続的に研究課題をサポートしながらいい方向に進めて欲しい。
 コロナ補正予算でリモートでデータを取ったり研究を進める内容の予算の募集があったので山岳科学センターとして4つのプロジェクトを合わせて1個申請したらいいのではないか?このプロジェクトだけにこだわらず全体としてリモートで観測できるシステムの内容を考えても申請してみてはと思う。
 第三次補正予算について全教員と各ステーションの長に情報を流していてその結果、全体を取りまとめてから考え、出す方向ではいる。

【最後に】
 今後の方向性としては教員全体の底上げを図り、日々努力を積み重ねていき教員が一人一人が一層の活性化を図る。4つのプロジェクトに関しては大型予算を目指す。


第2回会議(各ステーションのの研究及び教育の方向性について)

【議 題】各ステーションの方向性
菅平高原実験所、八ヶ岳演習林、井川演習林、筑波実験林の研究及び教育の方向性について、各ステーション長から説明していただき、議論の後、以下のような方向性を策定した。

  1. 菅平高原実験所
  2. 八ヶ岳演習林
  3. 井川演習林
  4. 筑波実験林

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