5-1. 活動実績

(1)重点項目

山岳科学センターの3つのミッション(山岳科学の確立、山業創生、人材育成)達成のために、以下の6つの重点項目について取り組んでいる。

  1. 研究力強化に向けた体制整備については、これまでに教育拠点経費による若手助教(井川演習林へ配置)、戦略的分野拡充による准教授(菅平高原実験所へ配置、八ヶ岳演習林兼務)、砂防・防災分野准教授(つくばキャンパスへ配置)、国際テニュアートラック若手助教(つくばキャンパスへ配置、イギリス留学)、昆虫分野の若手助教(菅平高原実験所へ配置)を採用してきた。また生態系生態学の准教授を教授へ昇任させた。
  2. 研究力と連携力強化に向けた資金獲得については、学内の戦略イニシアチブについては継続獲得ができているが、科学研究費補助金の基盤研究(A)以上の大型研究費については、昨年度に基盤研究(A)1件が採択された。国際化に関しての海外研究ユニット招致のための資金要求も概算要求に組み込んでいる。またJSPS研究拠点形成事業等にも継続的に申請を行ない、昨年度にようやく採択された。その他山業創生に繋がる資金として、川上演習林の更新伐事業の補助金は継続して獲得できている。登録有形文化財である大明神寮を適切に保存、有効活用するための資金として文化庁の補助金も獲得できた。
  3. 各フィールド施設の特色を生かした拠点化による魅力的なフィールド整備については、井川演習林については国土交通省、林野庁、静岡市、静岡県等との連携を強化して、砂防・防災研究拠点化に向けて研究機器や基盤データの充実を図っている。菅平高原実験所については生物多様性の教育研究の強化のために若手助教(昆虫分野)を採用した。八ヶ岳演習林については菅平へ配置した分子生態学を専門とする准教授を兼務として、研究の活性化を図っている。また川上演習林の更新伐事業については更新伐による生物多様性影響評価のモニタリングを行なっている。菅平高原実験所と八ヶ岳演習林は観光地としてのポテンシャルがあるために地元自治体との連携を図っている。
  4. 外部機関との連携力強化による山業関連事業の積極的な展開については、上田市および長野県環境保全研究所と連携協定を締結して地元貢献、研究力強化などを行なっている。菅平高原実験所の登録有形文化財「大明神寮」については文化庁補助金を獲得して保全計画を策定した。また静岡県と当センターで南アルプスの保全に関して連携協定を締結した。特に南アルプスのシカ捕獲試験については引き続き静岡県と連携して進める予定である。JAPIC、全国山の日協議会等、産業界とはオンラインではあるが打ち合わせを継続している。
  5. 海外ユニット招致や定期的な国際シンポジウム等による国際展開については、継続して海外研究ユニット招致に向けて努力を行なっている。毎年開催していた国際シンポジウムは、本年度についてはコロナ禍のために菅平で国内シンポジウムをハイブリットで開催した。また国立台湾大学(台湾)、ガジャマダ大学(インドネシア)とは教育や研究の連携を強化するために連絡を継続して行なっている。コロナ禍が収束したら、共同研究、海外学生実習を加速して行えるように準備をしている。
  6. 教育関係共同利用拠点事業については、コーディネーター助教を井川演習林に、拠点支援員をつくばに配置して、フィールドの教育研究環境の向上に勤めている。

(2)今年度の取り組み

  1. 研究力強化に向けた体制整備については、大学全体の定員削減のため今年度は追加の昇進や新規採用はなかった。引き続き研究強化のための努力していきたい。
  2. 研究力と連携力強化に向けた資金獲得については、今年度は学内の戦略イニシアチブについては継続獲得ができた。また川上演習林の更新伐事業の補助金は継続して獲得できている。また今年度は大型研究資金については代表としては採択がなかったが、分担では4件が採択されている。また次年度からであるが環境省総合推進費が代表として1件採択された。
  3. 各フィールド施設の特色を生かした拠点化による魅力的なフィールド整備については、砂防治山研究の他に本年度は井川演習林でのシカ捕獲試験を静岡県と連携して引き続き行っている。
  4. 外部機関との連携力強化による山業関連事業の積極的な展開については、昨年度に静岡県と当センターで南アルプスの保全に関して連携協定を締結し、これについて静岡県で南アルプス学会が設立され当センターからの参加を行なっている。
  5. 海外ユニット招致や定期的な国際シンポジウム等による国際展開については、本年度は国立台湾大学(台湾)、ガジャマダ大学(インドネシア)とは教育や研究の連携を強化するために連絡を継続して行なっている。本年度についてはコロナ禍のために「長野県における野生動物保護管理について考える」と題した国内シンポジウムをオンラインで開催した。
  6. 教育関係共同利用拠点事業については、今年度はコロナ感染症防止に配慮して、20の公開実習を準備したが、コロナ感染症拡大のため9実習しか行うことができなかった。しかし受託実習は36実習を受け入れ、研究指導も30名(他大学)、28名(学内学生)を受け入れた。

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