5-2.領域:山理解

(1)領域概要

 

(2)今年度の取り組み概要

山理解目標では、山岳地域の自然環境と、過去、現在、将来にわたるその変遷を、生物科学と地球科学の分野を軸に理解を深めることを目指す。また、現在の山岳地域の自然環境が晒されている、気候変動や生物多様性など多くの環境問題の解決、人間と自然の持続的な共生を目指す。山理解目標に向けて、本年度、数多くの研究成果が得られた。その活動概要を以下に紹介する。

 

今年目立った取り組み

山理解目標の以下の研究成果はプレスリリースもなされ注目を集めた。

 

ハチは訪れる花の選択を花色と距離で能動的に調整していた 〜ダーウィン以来の定説を超える「定花性」の包括的理解〜

さまざまな花が咲くお花畑でも昆虫が1種類の花を連続して訪れる定花性という習性は、ダーウィン以来、異なる花を思い出す手間を避ける受動的な行動とされてきました。しかし実際には、思い出す手間と移動の手間を調整して最適解を選ぶ能動的戦略の結果であることを、ハチの実験で実証しました。

 マルハナバチなどの訪花昆虫は、さまざまな花が咲くお花畑でも、しばしば1種類の花だけを連続して訪れる習性を示します。これは「定花性」と呼ばれています。ダーウィンは定花性を、異なる花の特徴を思い出す手間を避ける受動的な反応だと考えました。しかし本研究では、この定説が「記憶の制約」という視点に偏った不完全な見方であり、実際の定花性は、記憶の呼び出し時間と移動時間のバランスでダイナミックに調整された最適戦略の結果であることを明らかにしました。

 本研究では、植物種の空間的な混在度に着目して、訪花昆虫の行動予測を立てました。異なる植物種が混じる環境では、1種類の花に固執すると近くの他種を飛び越えるための移動時間が増えてしまいます。このため、思い出す手間を多少かけても、定花性は適当なレベルに抑えるのが最適だと考えられます。花の色や形の種間差がそれほど大きくないときは、思い出す手間が少なくなるため、定花性はさらに低く抑えるのが最適です。一方、植物が種ごとに集まって分布する環境では、1種類の花に固執した方が思い出す手間だけでなく移動の手間も減らせます。このため、高い定花性が最適になります。

 これらの予測を確かめるため、2種類の人工花を用意し、その空間的な混じり具合と花色の違いから、クロマルハナバチの定花性がどのように変化するかを調べました。すると予測通り、2種が混じり合い、花色が似ているほど、ハチの定花性は低くなりました。一方、同種が集まる環境では、花色によらず、定花性は高く保たれました。以上の発見は、訪花昆虫の定花性に関する150年来の定説を超え、野外環境における昆虫の定花性についての包括的な理解をもたらす重要な知見です。

 

タイトル:Realized flower constancy in bumble bees: Optimal foraging strategy balancing cognitive and travel costs and its possible consequences for floral diversity.

タイトル(日本語):実現定花性:認知コストと飛行コストをバランスする送粉者の最適採餌戦略と花の多様性に及ぼすその潜在的な影響

著者名:K. Takagi and K. Ohashi

掲載誌:Functional Ecology

掲載日:2025年2月10日(オンライン先行公開)

Doi 10.1111/1365-2435.70008

 

 

ミャンマー大地震はブーメランのような逆破壊伝播や超せん断破壊を含む複数のサブイベントで構成される特異な地震だった

筑波大学生命環境系・山岳科学センターの八木勇治 教授・奥脇 亮 助教らの共同研究グループは、2025年3月にミャンマーで発生した大地震の震源過程を解析し、断層に沿って南北の2方向へ行ったり来たりする非対称で高速な破壊成長様式を有する極めて複雑な震源過程を明らかにしました。

 2025年3月28日、ミャンマー中部マンダレーにおいてモーメントマグニチュード(Mw)7.7の大地震(2025年ミャンマー地震、以下ミャンマー大地震)が発生し、地震による強い揺れによりミャンマーおよび周辺国に多くの被害をもたらしました。余震分布は震源から南側に広がっており、ミャンマー大地震は震源から南方向に破壊が伝播したと考えられます。このような場合、ドップラー効果と類似したディレクティビティ効果により、破壊が進行する方向(今回の地震なら震源の南側の観測点)では振幅が大きく鋭いパルス状の波形が観測されることが一般的です。しかし、観測された地震波形は震源より北側の観測点で振幅が大きく鋭いパルス状の波形となる一方で、震源より南側の観測点では振幅が相対的に小さく、複数のピークを持つ波形が長時間続くという特徴がありました。これは、ミャンマー大地震が、通常とは異なる地震であったことを示唆します。

 本研究は、このような特異な特徴を持つミャンマー大地震の地震波形データを、破壊の進行方向や断層形状を仮定せず柔軟に解析する新手法(ポテンシー密度テンソルインバージョン法)に適用し、震源過程を推定しました。その結果、ミャンマー大地震の震源過程は複数のセグメントに分かれる破壊エピソードで構成されていることが判明しました。そして、各破壊エピソードにおいて南北2方向に破壊が非対称に進みながら、見かけ上震源の南へと伝播する様子を捉えることができました。特に破壊初期のエピソードでは、破壊が南側に伝播した後にブーメランのように北側に破壊伝播方向を変え、S波の伝わる速度を超える高速な超せん断速度で伝播していたことも分かりました。

 本研究結果は、質の高い地震波形データと自由度の高い波形解析手法を用いることで、ミャンマー大地震のように極めて複雑な震源過程を、地震発生直後に堅牢かつ早期に推定できることを示しています。本研究が示した複雑な破壊伝播様式は、地震発生機構の理解を深め、被害をもたらし得る強い地震動生成メカニズムのより良い評価に不可欠な知見です。震源から遠く離れたバンコクで長周期地震動による被害が発生した原因を理解する上でも重要だと考えられます。

 

論文情報 (オープンアクセスで、どなたでもご覧になれます):

Inoue, N., Yamaguchi, R., Yagi, Y., Okuwaki, R., Enescu, B., & Tadapansawut, T. (2025). A multiple asymmetrical bilateral rupture sequence derived from the peculiar teleseismic P-waves of the 2025 Mandalay, Myammar earthquake. Seismica, 4, 1691. https://doi.org/10.26443/seismica.v4i1.1691

 

 

南大西洋・サウスサンドウィッチ諸島で2021年に発生した謎の津波地震の震源過程を解明

筑波大学生命環境系・山岳科学センターの八木勇治 教授・奥脇 亮 助教らの共同研究グループは、南大西洋の英領サウスサンドウィッチ諸島沖合で2021年8月に発生した津波地震の地震波形データを解析し、振る舞いが異なる四つの破壊エピソードで構成される複雑な震源過程を明らかにしました。津波地震の発生メカニズムの理解を深め、被害の軽減にも生かすことができる成果です。

 津波地震は、地上で観測される揺れから予想されるよりも大きな津波を発生させる現象で、発生直後の避難行動が難しくなります。このため、その発生メカニズムや発生リスクを把握しておくことが重要です。例えば、地震の発生場に存在する柔らかい堆積物層の影響で生じる、ゆっくりと一様に進行する断層すべりが津波地震の要因の一つであると解釈されていますが、完全には理解されていません。また、津波地震で観測される地震波形は一様な断層すべりでは説明できないほど複雑な形をしていることがあり、その震源過程の実態は明らかになっていませんでした。

 本研究チームは、南太平洋の英領サウスサンドウィッチ諸島沖合で2021年8月12日に発生した津波地震(モーメントマグニチュード(Mw)8.3~8.5)の地震波形データを解析し、その震源過程を推定しました。

 地震の震源域は海洋プレートの沈み込み帯にあります。解析の結果、この地震は、破壊の振る舞いが異なる四つの破壊エピソードで構成されていることが分かりました。特に、地震の発生から約100秒後に始まった三つ目の破壊エピソードは、45秒もの間ゆっくりとした破壊成長が続き、高速かつ大規模な断層すべりを伴う四つ目の破壊エピソードを誘発する特異な破壊エピソードであったことを見いだしました。また、断層のすべり方向は震源域の北側でプレートの沈み込み方向と近くなる一方で、南側では湾曲したプレートの形状を反映するように回転していることも分かりました。これらにより、280秒もの長い時間継続し、津波地震の特徴を有する地震が発生することとなりました。

 本研究は、方向が変化する高速な破壊伝播とスローな破壊の成長が組み合わさることで、地震の継続時間が長くなるという津波地震の特徴が現れることを示しました。従来の津波地震の発生メカニズムの解釈とは異なる知見で、津波地震の即時同定による被害軽減などに貢献することが期待されます。

 

論文情報 (オープンアクセスで、どなたでもご覧になれます):

Yamaguchi, R., Yagi, Y., Okuwaki, R., & Enescu, B. (2025). The complex rupture evolution of the long and slow, tsunamigenic 2021 South Sandwich Islands earthquake. Scientific Reports, 15, 17706. https://doi.org/10.1038/s41598-025-02043-6.

 

 

コオロギの腸内と糞上で生活する新種の真菌を発見、腸内で胞子が鎖状に変形する未知の現象も確認
菅平高原実験所の李知彦(JSPS特別研究員)と出川洋介(生命環境系准教授)は、日本で採集されたコオロギの仲間の腸内および糞から新種の真菌を発見・記載しました。また、本種の胞子は糞上で形成された後に宿主の腸内に取り込まれると一部が鎖状に変形し、その鎖や鎖上に並んだ鉤爪によって腸内表面の毛に絡みつくという独自の付着構造をもつことが明らかになりました。コオロギの腸内と糞上で生活する新種の真菌を発見、腸内で胞子が鎖状に変形する未知の現象も確認 コオロギの腸内と糞上で生活する新種の真菌を発見、腸内で胞子が鎖状に変形する未知の現象も確認
 
【論文詳細】
論文名:Unguispora grylli, a new species of amphibious fungi associated with crickets (Gryllidae), transforms attachment structures of sporangiola in the host gut.
著者:T. Ri and Y. Degawa
掲載誌:Mycoscience
Doi:10.47371/mycosci.2025.01.001

 

 

気候変動に伴うニホンザルの採餌行動の変化:NHKの高解像度映像とDNA新解析手法が明らかにする上高地ニホンザルのイマ
筑波大学生命環境系竹中將起助教と信州大学理学部生物学コース松本卓也助教の研究室、およびNHK自然番組「ダーウィンが来た!」・「ワイルドライフ」の撮影クルー(NHK エンタープライズ自然科学部への制作委託)が共同研究体制を構築し、冬季の上高地のニホンザルの行動、生態についての撮影に挑み、その詳細を明らかにしました。行動学、DNA 解析、そして高度な撮影技術。三者の強みをいかした共同研究です。
 
題名:Impact of climate warming on the foraging behavior of northernmost distributed primates
著者:Ema NAGAHARA+, Ayaka TSUCHIHASHI, Takumi YOSHIDA, Kosuke HAYASHI, Genki YAMADA, Takayuki OGURA, Mone ITO, Hirokazu KURIHARA, Koji TOJO, Takuya MATSUMOTO*, Masaki TAKENAKA+,* (+ Co-First Author, *Co-Correspondence)
掲載誌:Scientific Reports
発表年:2025年
Doi:10.1038/s41598-025-09308-0
 
 
日本と台湾の天然ヒノキは100万年前に遺伝的に分かれたことを解明
天然の日本のヒノキと台湾のタイワンヒノキは、約100万年前の琉球列島の分断により分化したと推定されました。また、日本の集団は拡大傾向、台湾の集団は分断・縮小傾向にあることが推定されました。さらに北限や南限などの集団は特徴的な遺伝的特性を持ち、保全の優先度が高いことが示唆されました。
ヒノキは優良建築材として扱われ、日本でスギに次ぐ造林面積と素材生産量を誇ります。その天然林は、北は福島県、南は屋久島までに点在しています。一方、台湾にはヒノキの変種として位置付けられるタイワンヒノキが分布し、かつて日本の社寺建築材として大径材が輸入されていた歴史があります。本研究は、遺伝資源として保全すべきヒノキ・タイワンヒノキ天然林の分布域を対象に、全ゲノムを網羅した集団遺伝学的解析を実施し、遺伝的多様性や各集団の遺伝的地域性、分化の歴史を明らかにしました。
その結果、日本のヒノキ・台湾のタイワンヒノキは遺伝的に明確に区別され、約100万年前(第四紀更新世初期)に分岐したと推定されました。九州の南端から台湾にかけて弓状に連なる島々(琉球弧)はかつて地続き(陸橋)でしたが、それが分断され、両者の地理的隔離が進んだ時期と重なります。さらに、ヒノキは温暖・夏季多雨の環境、タイワンヒノキは寒冷・冬季多雨の環境に適応していることも示唆されました。国内のヒノキ集団は屋久島・本州中部以西・中部以北の3地域で遺伝的に異なっており、それぞれの集団サイズは拡大傾向にあると推定されました。福島(北限)および屋久島(南限)の集団は特に独自な遺伝的特性を持つため、保全の優先度が高いと考えられました。台湾内の集団は遺伝的分化の地理的な傾向が明確でなく、集団が分断・縮小傾向にあることが推定されました。
日本では現在、ヒノキの種苗移動は林業種苗法で主に気候条件の違いから3区分に分けて管理されていますが、本研究の結果は、遺伝的地域性に基づいて新たに境界の異なる3区分に分ける必要性を示しています。局所的な環境に適応した異なる遺伝グループ間の交雑は、環境への適応度を下げる遠交弱勢を招く可能性があるため、種苗移動の適切な管理による天然林(遺伝資源)の保全が必要です。

 

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研究代表者:筑波大学 生命環境系 相原 隆貴 研究員、筑波大学 生命環境系 津村 義彦 名誉教授
題名:The historical biogeography of divergence in the relict cypress Chamaecyparis obtusa, and the implications for conservation and management in East Asia.
(ヒノキの集団分化・遺存の生物地理史と東アジアにおける保全・管理への示唆)
掲載誌:Ecological and Evolution
掲載日:2025年10月1日
Doi : 10.1002/ece3.72240
 

 

小さなハダニが教えてくれる排泄物管理の重要性
集団生活を送る小型の節足動物、ケナガスゴモリハダニが、巣の特定の場所に排泄することで卵を排泄物の害から守っていることを突き止めました。社会性をもつハダニで排泄行動の適応的機能を実証した初めての研究であり、節足動物の社会性や巣生活の進化を理解する上で、重要な成果と言えます。
生物が集団で生活する上で、排泄物の適切な管理は、病気の予防や生活空間の衛生維持にとって重要です。しかし、こうした行動がどの程度、生存や繁殖に有利に働くのかを実験的に検証した研究は、これまでほとんど行われていませんでした。
親世代と子世代が同居する亜社会性ハダニであるケナガスゴモリハダニ(Stigmaeopsis longus (Saito))は、巣の出入り口付近の特定の場所でのみ排泄する「共同トイレ」行動をとることが知られています。本研究チームは今回、この行動にどのような適応的意義があるのかを調べました。具体的には、このハダニの寄主植物の一つであるクマザサから抽出した化学成分を用いて、ハダニの巣内における排泄場所の位置や数を人為的に操作しました。そして、異なる密度(中密度・高密度)の雌集団において、繁殖や生存への影響を比較しました。
その結果、排泄場所を巣の端から中央に変えると、成虫や幼虫の生存には大きな影響は見られなかったものの、高密度条件では卵の生存率がわずかに低下することが分かりました。また、どの密度条件でも排泄場所の操作によって巣の増築が促進されることも明らかになりました。さらに、巣の出入り口を物理的に塞ぎ、巣の増築を妨げたところ、中密度条件でも卵の生存率が著しく低下することが分かりました。これらの結果から、排泄物の空間的な管理は特に、動くことのできない卵の生存にとって極めて重要であることが示されました。
本研究は、社会性をもつハダニにおいて、排泄行動の適応的機能を実証した初めての研究であり、節足動物における社会性や巣生活の進化を理解する上で、重要な成果です。

 

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研究代表者:筑波大学 生物学学位プログラム(博士前期課程)2年次 新藤 啓太
研究代表者:筑波大学 生命環境系/山岳科学センター 佐藤 幸恵准教授
題名: The Adaptive Function of Waste Management in a Social Spider Mite.
 (社会性ハダニにおける排泄物管理の適応的機能)
掲載誌:Biology Letters
掲載日:2025年11月12日
Doi : 10.1098/rsbl.2025.0397
 

 

なぜM9級カムチャツカ巨大地震は73年で繰り返し発生したのか

1952年にマグニチュード(M)9級の超巨大地震が起きたカムチャツカ半島沖で今年7月、再びM9級の地震が発生しました。地震学の常識を覆す発生間隔の短さの謎を解明するため、筑波大学生命環境系・山岳科学センターの八木勇治 教授・奥脇 亮 准教授らの共同研究グループは、その破壊過程を精密に解析し、巨大地震が古典的な地震サイクルモデルでは説明が困難な挙動をしていることを示しました。

2025年7月、ロシア・カムチャツカ半島沖でマグニチュード(M)8.8〜8.9の超巨大地震が発生しました。この地震は、1952年に起きたM9.0級巨大地震とほぼ同じ場所を再び破壊したにもかかわらず、その発生間隔はわずか73年と異例の短さであり、地震学の常識を大きく揺るがすものでした。

本研究では、筑波大学が独自に開発した「Potency Density Tensor Inversion(PDTI)」という解析手法を用い、2025年カムチャツカ地震の破壊過程を推定しました。

その結果、73年間で蓄積されたすべり遅れ(約6m)を大きく超える9〜12mの大すべりが広い範囲で発生していたこと、さらに大すべり域の内部で断層すべりが2度加速していたことが明らかになりました。この2度の加速が生じた領域では、地震後にプレート収束方向とは逆向きの低角正断層型の余震が、プレート境界付近に集中して発生していることもわかりました。これは、本震時にオーバーシュート(断層すべりの行き過ぎ)が発生し、断層をずらす力が反転する現象が発生したことを示唆します。これらから本研究チームは、1952年の地震で解消されずに残った古いひずみに、1952年以降のひずみが加わって蓄積され、それが2025年の地震でほぼ解放されたと結論づけました。

本研究は、破壊物理の違いなどにより、巨大地震後に残留するひずみの量には大きな違いが生じ、結果として巨大地震の周期が乱れ、再来間隔が規則的でなくなることを明らかにしました。現実の巨大地震は、古典的な地震サイクルモデルでは説明が難しい複雑な挙動を示すということであり、南海トラフを含む世界の沈み込み帯で実施されている長期地震予測モデルに重大な示唆を与えるものです。

 

論文情報 (オープンアクセスで、どなたでもご覧になれます):

Yagi, Y., Fukahata, Y., Okuwaki, R., Takagawa, T., & Toda, S. (2025). Breaking the Cycle: Short Recurrence and Overshoot of an M9-class Kamchatka Earthquake. Seismica, 4(2). https://doi.org/10.26443/seismica.v4i2.2012

 

 

中部山岳・高山帯が「進化」の舞台に ―高解像度の遺伝子解析により、山岳での遺伝的多様性の創生を解明―

【研究成果のポイント】

⚫高山帯の池沼に生息する水生昆虫種で,高解像度の遺伝子解析(ゲノムワイドなSNPs解析)を実施

⚫乗鞍の高山・亜高山帯のサハリントビケラ集団間で,遺伝的に大きく分化(生態的差異とも深く関連)

→ 遺伝的多様性の創出(厳しい高山帯の生態系もネイチャーポジティブの舞台となりえる)

⚫中部山岳・高山帯と北海道の集団は,第四紀更新世の気候変動の影響により系統分化

→ 分化した系統の二次的接触により新たな系統が進化

⚫ミトコンドリアDNAの解析では検出されなかった「隠れた交雑帯」の存在が判明

⚫中部山岳に成立した独特な特徴をもつ高山生態系の重要性を確認

→ 単なる氷期の遺存状態ではなく,進化における重要な舞台であることが判明

 

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著者:Hirohisa SUZUKI 鈴木啓久(当時:信州大学大学院 博士課程,現:岐阜県立飛騨高山高等学校)

著者:Masaki TAKENAKA 竹中將起(筑波大学生命環境系/山岳科学センター 助教)

責任著者:Koji TOJO 東城幸治(信州大学)

題名:Phylogeography of a cool-loving caddisfly: analyses of single nucleotide polymorphisms indicate lowland hybridization and highland isolation

掲載誌:Zoological Journal of the Linnean Society 205: zlaf165

掲載日:2026年1月8日

Doi : 10.1093/zoolinnean/zlaf165

 

 

先んずれば花色を制す – 「先客」を確保した地味な花は派手な花にも負けずハチを惹きつける –

川口利奈 京都大学工学研究科講師、大橋一晴 筑波大学講師、徳永幸彦 同准教授、小沼明弘 農業環境技術研究所 主任研究員(研究当時) らの共同研究チームは、ハチを誘引しやすい派手な見た目を持たない花でも、ライバルの派手な花に先んじて訪問者を確保することで、後からその「先客」につられて花を訪れるハチを増やし、見た目の不利さを覆してより多くの訪問者を得るチャンスがあることを実証しました。

慣れない土地で良い食堂を探す人間のように、ハチは店構え (見た目) だけを頼りに新しい花を探すのではなく、他の個体がどこでどのような花を訪れているかを手がかりにしていることが知られています。本研究では、網室内で蜜を得られる新しい花を探すマルハナバチに、色の異なる2つの人工花のパッチを提示し、どちらを最終的な採餌先に選ぶかを調べました。その結果、どちらのパッチにも先客がいない場合には、一方の花色が約9割の試行で選ばれるという強い色の好みが確認されました。しかし、もともと人気の低い色のパッチに先客がいると、その花は人気の色と同程度、あるいはそれ以上の割合で最終的な採餌先として選ばれるようになりました。つまり、花は常に派手な見た目で優位に立つ必要はないわけです。以上の発見は、花の誘引戦略が見た目の派手さだけでなく、先客を得るための開花タイミングにも及ぶ可能性があるという、これまで見過ごされてきた視点を提供する重要な知見です。本研究成果は、2026年2月19日に国際学術誌「Functional Ecology」にオンライン掲載されました。

 

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【論文詳細】

タイトル:Bandwagon effects in a floral market: early pollinator acquisition offsets colour disadvantages in less attractive flowers (花市場における行列効果:早期の送紛者確保が花色の不利を相殺する)

著者:Lina G. Kawaguchi, Kazuharu Ohashi, Akihiro Konuma, and Yukihiko Toquenaga

掲載誌:Functional Ecology    Doi:10.1111/1365-2435.70259

 

 

菅平高原実験所アカマツ林A区におけるアカマツとミズナラの成長調査

菅平高原実験所の山中史江(生命環境系技術室 技術専門職員)による報告書が、筑波大学技術報告 No. 43 にて公開されました。筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所のアカマツ林A区では、そこに自生するアカマツとミズナラの成長調査を長年行っていたが、2010年を最後に中断されていた。しかし2025年、学外者の相談をきっかけに約15年ぶりとなる調査を実施し、その結果を報告した。

 

筑波大学技術報告 No. 43(つくばリポジトリ)

https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/search?search_type=2&q=1774311324490

 

 

(3)業績

区分1

区分2

査読有

査読無

計

論文

学術雑誌

57

0

57

紀要等

2

0

2

解説その他

0

6

6

計

59

6

65

著書

 

0

学会発表

国際会議

 

16

 

国内会議

 

106

 

計

 

122

一般講演等

 

3

その他の活動

 

6

詳細はこちら:「8.MSC教員業績リスト」

 

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