4−2.見本林・保存林ゾーン(4.58ha)
- 樹種・樹林の多様性を確保するため、樹木園・保存林を3つの地区に集中して設けます(付図1と2参照)。
- 最北端の防風林(NO-04)は、植栽後60年以上になるカラマツにシラカンバ等が混じり、樹冠部の樹高は24m以上に達しています。ここは、信州大学野辺山ステーションの樹林と一続きの樹林を形成しているため、当面(次期長期計画の最終年度である2025年まで、以下同様)はこのままで維持します。また、その南側に隣接するNI-18とNI-19には、それぞれ小規模ですがエゾアカマツとシラカンバが固まって生えているので、手入れしながら維持します。
- 実験棟の南東側に位置するシラカンバの植栽地(NI-29, 30, NO-10, 11)は、植栽後54年が経過し、シラカンバとヤエガワカンバの下に亜高木や低木が入り、林床にミヤコザサが生える明るい多層構造の林になっています。さらに、そこから信州大学との境界部までの区画(NI-31, 32, 34, 35)や南西側の元内部防風林(NI-28)は主にカラマツを上層木とする多層構造の林になっています。これらの林分も周辺に迷惑を及ぼす危険もないことから、当面はこのまま維持します。
- 内部防風林だったNI-12, 21, 33は2013年に上層木のカラマツを伐採しましたが、モミやイチイの低木がかなり残っているので、当面はこのまま成長させます。以上が北側の保存林・見本林になります。
- 現行の計画書で見本林とされている旧「り7」小班には針葉樹としてカラマツ、ストローブマツ、チョウセンゴヨウ、サワラ、シラビソ(シラベ)、イチイ(SI-09〜12, 17, 26, 27)が、落葉広葉樹としてクリ、ミズナラ、ヤエガワカンバ、シラカンバ、コブニレ、トネリコ(SI-21〜25, 28)が植えられています。これらは1985年以降に植栽されましたが、詳細な記録が残っておらず、手入れもされていません。しかし、まだ直営で管理可能な大きさですので、間伐実習地として利用しながら見本林として維持します(付図4参照)。
- 空き地になっていたSI-11区は地域特産樹種の保護用地とし、中部日本に局所的に分布する絶滅危惧種のヒメバラモミなどを植栽します。
- さらに、その南側には放牧地跡に生えたと思われるズミの天然林が広がっています。そのうち南寄りの地区(SI-14, 16)にはミズナラやヤエガワカンバ等の古い天然木が残っていますので、ズミの純林の一部(SI-31)とともに、やぶを払って視界を確保する程度の管理で保存します。
- ストローブマツとカラマツからなる内部防風林(SI-18〜20)は、2013年度に伐採しました。その後には植栽も手入れもせずに経過を観察することにします。

2013年の実習でサワラ林を間伐