新型コロナ感染症に大きな影響を受けた1年間で、例年のような実習受け入れができなかった。その中でも教職員が協力していくつかの実習を受け入れることが出来た。来年度も同様の状況が続くと考えられるため、作業の省力化等改善していきたい。
昨年度から進めているサーバーの移行作業も大詰めを迎えている。まだいくつか調整が必要なポイントが残されているため、早急に対応していきたい。
新たなこととして、公開動画の作成に着手した。今のところ実習の様子だったり、公開観察会や構内の様子を適宜編集、公開している。今後はICT等も絡めていきたい。
新型コロナの感染拡大は、八ヶ岳演習林の活動にも少なからず影響した。例年に比べると、実習、調査・研究の利用件数、延べ利用人数とも減少した。技術協力の必要のあったものは、コロナ対策を行いつつ、これに対応した。
川上演習林で行っている信州森づくり事業は、施業区エリア内の2回目の下刈を実施した。また、1959年から70年契約で地上権を借りている川上演習林Ⅰについて、川上村と140年の変更契約を締結した。1969年から川上村御所平林野本組合から借りている川上演習林Ⅱについても、同様に、地元のご理解を得ながら交渉を進めている。
八ケ岳演習林の一部は、中部横断道の建設予定区域に入る。環境アセスのヒアリングを経て、1月より、業者による林内の調査も始まった。次年度に向け、大学独自のモニタリングを実施する。
井川演習林では南アルプス地域の特性を生かした砂防、水文、生態学の調査研究を実施していくとともに、それらの教育、研究活動の受けいれを行っている。しかし今年度は新型コロナ感染症の影響を受け、実習についてはすべて中止となり、卒論、修論や学外者の研究利用についても新型コロナ感染症対策を施したうえで制限付きの受け入れとなった。また、井川演習林内の総合気象観測施設の移設作業、水文観測施設維持管理等の観測ステーションの整備のほか、静岡県からの受託調査や民間企業との共同研究を実施した。
演習林の森林管理については、計画通りに実施されており大きな問題はなかった。その中で今年度は獣害防除については、サンケイ化学株式会社と共同研究の形で忌避剤の効果試験として実施した。
里山関連のステーションとして教育研究に一層活用されることを目標に整備を進めている。今年度は新型コロナ感染症の影響で実習の延期や中止が相次いだが、8月後半に実習が解禁されたのちは実習利用の間隔がタイトになり、部屋や実習用具の消毒などが加わったため業務量が増加した。新規事業としては施設部の要請によりシダレザクラの接ぎ木を実施し、苗の養生を行った。また、実験林内にアライグマの生息が確認されたのをきっかけに、自動撮影カメラによる哺乳類調査と罠によるアライグマ防除を実施した。秋には植物見本園の樹木からナラ枯れの原因となるカキノナガキクイムシが見つかり、該当木の伐倒、粉砕、燻蒸などに追われた。
井川演習林では技術職員が主体となり、静岡県から「令和2年度 ニホンジカ給餌誘引捕獲調査業務委託」として受託調査を実施したほか、サンケイ化学株式会社との共同研究として同社が開発中の忌避剤について、井川演習林内の植栽木を用いて効果試験を実施した。
ステーション | 主な業務 |
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菅平高原実験所 | (1)構内全体の環境整備関連 樹木園及び建物周辺部の環境整備/外周フェンス周辺の草刈り・笹刈り/樹木園内及びアカマツ林内観察道の保守管理/ススキ草原地上部除去作業/苗圃全体の管理/希少植物の保存等/樹木名ラベルの取り付け及び交換/林冠タワーの軽微な点検/機械器具の点検整備 (2)教育・研究関連 樹木園内及び構内樹木の成長調査/気象観測データ整理等及び観測機器の保守管理/学生実習等における教育活動/所蔵動植物標本点検、補修、保管管理等/樹木園等の来訪者に対する説明及び案内/図書受入及び管理/積雪観測/研究者及び学生の研究実験補助 (3)その他 社会貢献活動の企画立案/構内清掃/サーバ管理及びネットワーク管理/広報(イベント及び成果報告等HPの更新含む)/給水・電気・ボイラー等諸設備の日常点検/実験所関連新旧資料の整理等/軽微な営繕及び修理/構内除雪/事務補助/宿泊棟補助 |
八ヶ岳演習林 | 調査・研究のフィールドの提供と技術協力/本州中部・冷温帯の森林育成/気象観測/二次林、中間湿原、希少動植物の保全と研究/自然観察路の管理 /実習教育 |
井川演習林 | 実習教育・研究のフィールド提供/温帯中部の森林育成/源流域の林地保全と流域管理/実習教育 |
筑波実験林 | 教育・研究のフィールドの提供/里山林の動植物保全・育成管理/植物見本園管理 /林木の種苗育成/兵太郎池管理:スイレン刈り(中止)/気象観測:観測装置保守点検、データ回収等/機械整備/実習教育 |