2024年度も身近な里山的な学内緑地である立地条件・環境という長所を活用して、学内研究フィールド・実験圃場,教育・社会貢献の場としての役割を果たした。
2024年度もスギ産地別試験地において、MSC教員、東大・神戸大等の他大学教員・学生等により、樹木の成長・形質、産地ごとの生存率の違いについて継続調査がなされ、多くの成果が得られた。また、タイムラプスカメラシステムを用いた植生フェノロジー観察が開始した。さらに、ダニ類の捕食―被食の共進化・社会性・系統地理、ショウジョウバエの季節的消長、屋外飼育施設におけるタマムシ成虫の生存期間、希少草本ハナハタザオの生育地間の形態・塩分耐性の比較研究、常緑樹葉圏担子菌類の多様性調査等がなされた。
生物資源学類を主とした1年生向けの専門基礎科目 「生物資源フィールド学実習」、2年生向けの専門科目Ⅰ「生物資源生産科学実習Ⅰ・Ⅱ」・「環境工学フィールド実習」等、3年生向けの専門科目Ⅱ「農林生物学実験・森林育成学実験」・「森林植物学」・「森林水文・砂防学実習」等が実施された。加えて、生物学類「植物系統分類学実験Ⅰ」・「モデル生物多様性実習」等が開催された。大学院の授業にも活用され山岳科学学位プログラム「里山管理実習」、教育学学位プログラム「生物学教育実験」等が実施された。
大学附属病院と共同で実施しているリワークデイケアを実施したのに加え、茨城県と共同で実施した筑波山産ブナ育苗サポーターを受入れた。また、中学生を対象とした「夏休み自由研究お助け隊」を開催した。
近年、卒業・修論・博論研究等で需要の多いガラス室・ファイロンハウスの自動灌水制御装置を更新した。2020年にナラ枯れ菌を媒介するカシノナガキクイムシ(以下、キクイムシ)が初めて確認されて以降、本種の防除を継続して実施している。2024年度は特にトラップによる防除を実施した。キクイムシの捕殺数は2023年度と比較してほぼ横ばいだったが、ナラ枯れで枯死した樹木はなかった。生態系・生物多様性保全のため、特定外来種アライグマの捕獲も継続し、成獣雌1個体を捕獲した。植物見本園における見学者・利用者の利便性・安全性の向上を図るため、適宜、草刈り・枝打ち・不用木の伐倒を行った。
l 筑波山産のブナ育苗受託事業 茨城県は衰退傾向にある筑波山山頂部のブナの再生事業を行っており、その受託事業としてブナ育苗を実施した。筑波山サポーターの協力を得ながら定期的に苗木位置を入換えるポットローテーションを行い、2025年3月10日にブナ苗は無事筑波山に移植されて本事業は終了した。
l 佐藤美穂技術職員、2024年度(第26回)全国大学演習林森林管理技術賞技術貢献賞受賞
概要と詳細はこちら:「4-3. ステーション利用実績」
計39実習(公開実習:3、受託実習:14、その他:22) 詳細はこちら
l モデル生物多様性実習
l 里山管理実習
l 植物系統分類学実験Ⅰ
l 森林植物学
l 環境工学フィールド実習
l 生物資源フィールド学実習
l 生物学教育実験
l 大学院共通科目「魅力ある理科教員になるための生物・地学実験」
l 生物学類クラスセミナー
l 生物寺子屋
l 食料健康科学研究
l 農林生物学実験
l
森林育成学実験
区分1 |
区分2 |
査読有 |
査読無 |
計 |
論文(MSC教職員の内数) |
学術雑誌 |
5(5) |
0(0) |
5(5) |
紀要等 |
1(1) |
1(1) |
2(2) |
|
解説その他 |
6(0) |
0(0) |
6(0) |
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計 |
12(6) |
1(1) |
13(7) |
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著書(MSC教職員の内数) |
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1(1) |
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学会発表(MSC教職員の内数) |
国際会議 |
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2(2) |
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国内会議 |
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30(22) |
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計 |
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32(22) |
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一般講演等* |
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0 |
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その他の活動* |
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2 |
*MSC教職員のみ
詳細はこちら:「8.MSC教員業績リスト」; 「9.ステーション利用による研究業績リスト(MSC教員外)」
l 山田秀雄・門脇正史(シニアスタッフ・教員)屋外飼育施設におけるタマムシ成虫の生存期間
l 上條さち子・山田 秀雄・佐藤 美穂・門脇正史(非常勤職員・シニアスタッフ・技術職員・教員) 自動撮影カメラによる中大型哺乳類のモニタリング
l 大塚 千尋(院生)ガラス室での耐塩性に関する植栽実験
l 相原 隆貴(院生)日本のダケカンバ集団の形質と遺伝的な特性
l Yuanhong Li(院生)Phylogeograhy and geographic variation in morphology, ecology and behavior of Aponychus corpuzae
l 新藤 啓太(学生)スゴモリハダニ属における社会性と巣内衛生行動について
l 齊藤 温大(学生)ススキスゴモリハダニ種群における生殖的隔離の強化
l 古川 顕充(院生)捕食―被食の共進化:ハダニ類とその天敵カブリダニを例に
l 谷田部 龍(院生)最終氷期に日本に渡ってきたハーレムをつくるハダニの祖先集団形質について
l 塚越 優喜(院生)タケカブリダニの系統地理
l 田原 真夢(院生)居候は捕食者:社会性ハダニにおける対捕食者戦略
l 山野邊 裕樹(学生)シラン周辺の土壌採集
l 小倉 大知(院生)低温処理による花茎形成に関する植栽実験
l 田ケ原 将己(院生)筑波大学構内におけるウスバカゲロウ科の分布、主構成と種間競争
l 吉瀬遥平(学生)つくば市内のネズミ類、コウモリ類、鳥類の生息状況調査
l 秋成 怜美(院生)常緑樹の葉圏担子菌類の多様性調査
l 奈佐原 顕郎(教員)植生フェノロジー長期変動観察のためのタイムラプスカメラシステムの運用
l ショウジョウバエの季節消長(生物学類・学生)
l サワラ溝腐病の発病調査 健全枝(長さ20 cm程度3本)と発病枝(発見された場合)の採取(生命環境系・研究員)
l Bee hotelを用いた筒住性ハチ類の多様性と季節変動の解明(生物学類・学生)
l ホソコバネナガカメムシおよびそれに寄生するナガカメネジレバネの生活史調査(生命環境系・教員)
l 炭素分配戦略の視点から明らかにする天然スギ機能形質の地理変異(神戸大学・教員)
l スギのBVOCs放出特性の解明及び葉圏微生物の分析(東京大学・院生)
l スギの葉圏微生物群集とスギの種内変異との関係性に関する研究(東京大学・院生)
l ダケカンバ産地試験林を利用した菌根菌調査(東京大学・教員)
l
ミヤコザサに寄生するハダニの分類と生態学的研究(流通経済大学・教員)
l 附属病院リワークデイケア実習/竹の伐採(2024年4月11日)
l 筑波山サポーター/ブナポットローテーション(2024年4月17日)
l 筑波山サポーター/ブナポットローテーション(2024年5月29日)
l 発達支援事業所の児童(未就学児)に向けた土壌教育の実施(2024年5月29日)
l 夏休み自由研究お助け隊(2024年8月4日)
l 附属病院リワークデイケア実習/見本園整備(不要木撤去)(2024年9月5日)
l 筑波山サポーター/ブナポットローテーション(2024年9月17日)
l 附属病院リワークデイケア実習/見本園整備(不要木撤去等)(2024年10月3日)
l 筑波大学附属坂戸高等学校施設見学(2024年10月8日)
l 筑波山サポーター/ブナポットローテーション(2024年10月17日)
l 附属病院リワークデイケア実習/見本園整備(シモツケ刈り取り)(2024年12月5日)
l 附属病院リワークデイケア実習/樹木伐倒(2024年12月12日)
l 附属病院リワークデイケア実習/きのこの植菌(2025年2月6日)
l 総合技術研究会 施設見学会(植物見本園見学)/(2025年3月5日)
l 筑波山ブサポーター/ブナ苗 移植準備/(2025年3月10日)