2020年度はコロナ禍において活動自粛の措置が取られて各ステーションともその影響を受けたため、社会貢献活動はいずれも例年よりも減少傾向だった。
最もイベント数が多い菅平高原実験所(以下、菅平と略する)でも例年より半減したが、コロナ禍においても多様な活動が見られた。その中でも「ナチュラリストの会」の活動は活発で、同会が関係する活動が菅平のイベント中半分以上を占めるなど、同会が極めて重要な役割を演じている。その他にも、上田市教育委員会、峰の原高原観光協会や保野農家組合等の地元団体への講師・委員派遣や運営補助等があった。出版・執筆では、菅平生き物通信の発行や「週刊上田」へコラム「高原だより」への寄稿、YouTubeへの動画配信があった。
一方、演習林部門では全般的にコロナ禍の影響がかなり大きかった。八ヶ岳演習林(以下、八ヶ岳と略する)においては 御所平林野本組合現地視察会を実施した。また、オンラインを活用した林業体験教室(東京都文京区立湯島小学校)のようにコロナ禍特有の活動もあった。ボランティア「薪炭林見守りチーム」の活動が自粛になるなど例年よりイベント数はかなり減少した。出版・執筆では、YouTubeへの動画配信があった。
井川演習林においては、地元井川小中学校でのコミュニティ委員を務め、環境教育を実施した。地元の井川地区各種団体長会議へ出席した。八ヶ岳同様コロナ禍での自粛の影響で活動数は減少した。
筑波実験林では、全学的イベントである「科学技術週間キッズユニバーシティ」や「夏休み自由研究お助け隊」は軒並み中止となった。附属病院との連携で実施しているリワークデイケアは2020年内全て中止となり、年が明けた2月に1回だけ開催した。こちらでもコロナ禍の影響はかなり大きかった。「NPO 宍塚の自然と歴史の会」共催の「モニタリングサイト1000里地調査(カエル類)」へ調査員を派遣した。出版・執筆では、YouTubeへの動画配信があった。
八ヶ岳演習林では、今年度は新型コロナウイルス拡散防止のため、国立天文台と信州大学農学部野辺山ステーションとで共同開催している地元感謝デーが中止となった(今年度のホスト校は国立天文台)。他の活動も中止せざるを得ない状況であった。
菅平高原実験所では、新型コロナウイルスのために多くのリアルイベントを中止したが、上田市のまちなかキャンパスにおいて呉羽先生・山下先生のご協力でオンライン講座が実現、大変好評を博している。ナチュラリストは十分な注意を払ったうえで活動を継続しており(公開観察会はやむなく中止)、来年度10周年を迎える。