里山のミニチュア的な学内緑地というような立地条件・環境の特徴を活用して、里山環境の管理・保全、学内研究フイールド・実験圃場として活用を図った。
➀身近な植物と昆虫・寄生菌類の生物間相互作用、➁里山の外来種管理・希少種保全、➂植物フェノロジー(生物季節学)・産地試験設置による長期観察の3つを重要な柱として取り組んだ。➀では、植物見本園の樹木に穿孔するキバチの幼虫とそれに寄生する3種の寄生蜂の関係の研究が著書として出版された。➁では、外来種ウシガエルの管理に資するため、本実験林の調整池に棲む本種の個体数・齢査定に関する調査を本学保全生態学研究室の教員・学生と連携して取り組んだ。また、茨城県で準絶滅危惧種に指定されるタマムシの半野外における寿命に関する研究も行った。➂では、海洋研究開発機構の研究員・学内教員により里山林の代表的樹種であるスダジイ等のフェノロジーがタイムラプスカメラを用いて観察された。また、スギ・ダケカンバ産地別試験地では、MSC教員に加え、東大・東北大等の他大学教員、森林研究・整備機構の研究員によって、樹木の成長・形質の産地ごとの応答の違いについて調査がなされた。
本年も生物資源学類を主とした1年生向けの専門基礎科目実習「生物資源フイールド実習」や2年生向けの専門科目実習Ⅰ「生物資源生産科学実習」といった大人数の実習から、3年生向けの専門科目実習Ⅱ「農林生物実習」が実施された。新たな実習として、生物資源学類「環境工学フィールド実習」も行われた。新型コロナ禍の影響により、通常は八ヶ岳演習林で開催する森林総合実習も本年は実験林で行われた。その他、生物学類「植物系統分類学実験」も開催された。大学院の授業では、山岳科学学位プログラム「里山管理実習」、世界遺産学位プログラム自然保護寄付講座「自然遺産と持続可能性」等が実施された。
本年度はコロナ禍のため、「科学技術週間キッズユニバーシティ」、「夏休み自由研究お助け隊等」の全学的イベントは軒並み中止となった。大学附属病院と共同で実施しているリワークデイケアは、2020年は全て中止、年が明けた1月に一度だけ再開した。
非常勤職員が異動により筑波実験林に1名配属された。女子トイレに温水洗浄便座が取り付けられ換気扇も更新したため、快適性・利便性が向上した。男子トイレも現在和式トイレから洋式トイレへ改修中で同様に快適性・利便性の向上を目指している。
・筑波大学本部棟前シダレザクラ復活のための苗木養成
本部棟前にあったシダレザクラは筑波大学の開学記念として1975年に東京教育大学から移植されたシンボルであったが、腐朽のため伐採された。施設部の依頼により、実験林にあるシダレザクラ後継樹から接木による苗木養成を試みている。
シダレザクラの接木苗
・産地別試験地
天然分布域をカバーした産地から収集したダケカンバの産地別試験地を設置し、これらの産地ごとの樹木の成長・形質・遺伝的特徴調査・環境応答を解明中である。
ダケカンバ産地別試験地とその管理(除草)の様子
・特定外来種アライグマ管理
2020年に本実験林においても特定外来種アライグマが生息することが確認された。本種による生態系への影響は大きいので、T-PIRK、アイソトープ環境研究動態センター等他の学内センターと連携して駆除を開始し、実験林では2個体捕獲された。
捕獲されたアライグマ
・ナラ枯れ・カシノナガキクイムシの防除
2020年につくば市でも初めてナラ枯れが確認されたところ、当実験林でもその原因のナラ病菌を媒介するカシノナガキクイムシが確認された。本種の蔓延防止のため被害木の伐採・チップ処理をした。
カシノナガキクイムシ
計33実習(公開実習:0、受託実習:20、その他:13)
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査読有 | 査読無 | 計 | ||
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論文(MSC教職員の内数) | 学術雑誌 | 14(14) | 0(0) | 14(14) |
紀要等 | 0(0) | 1(1) | 1(1) | |
解説その他 | 2(0) | 2(2) | 4(2) | |
計 | 16(14) | 3(3) | 19(17) | |
著書(MSC教職員の内数) | 6(5) | |||
学会発表(MSC教職員の内数) | 国際会議 | 0(0) | ||
国内会議 | 7(7) | |||
計 | 7(7) | |||
一般講演等* | 0 | |||
その他の活動* | 3 |
*MSC教職員のみ
詳細はこちら: 「9.MSC教員業績リスト」, 「10.ステーション利用による研究業績リスト(MSC教員外)」