菅平高原実験所の研究・計画

2023年度研究課題一覧

随時更新しています。

研究課題名(受付順)概要研究代表者・所属実施期間
1. トビムシ目の比較発生学的研究六脚類の進化において重要な分類群であり、しばしば狭義の昆虫類(外顎類)と姉妹群とされる内顎類3目(トビムシ目、カマアシムシ目、コムシ目)の形態形成の過程から六脚類の形態進化やその基部分岐を明らかにする。富塚 茂和
十日町市立里山科学館 越後松之山「森の学校」キョロロ
2023.4.1~2024.3.20
2. 森林におけるツル植物の純一次生産量への貢献森林におけるつる植物が、森林全体の物質生産にどのような影響を与えているのかを明らかにする。谷岡 庸介
筑波大学生物学学位プログラム
2023.4.1~2024.3.31
3. 植生履歴の異なる草原性植物群集間の花形質組成の比較植生履歴の異なる草原性植物群集間の花形質組成の比較を通じて、送紛に関わる機能形質(花色・花形態など)が、植物群集の集合規則に与える影響を評価する。石井 博
富山大学大学院理工学研究部
2023.5.17~2023.10.30
4. 山地の森林フェノロジーと夜間冷気流出の関係菅平から上田での気象観測、および菅平高原実験所での落葉樹の開葉・落葉の観測を行い、冷気流とフェノロジーとの関係を明らかにする。加古 祐貴
筑波大学地球科学学位プログラム
2023.4.1~2024.3.31
5. 菅平盆地で形成される接地逆転層「冷気湖」における気温変動の解明盆地底と菅平高原実験所との気温差から求めた大気安定度指標を用いて、気温の長周期変動の特徴を明らかにする。また、大気安定度は、夜間冷却の強さと大気中の物質輸送過程に関係することから、気温の長周期変動の特徴を用いて、盆地内の夜間冷却と夜間の気温形成のメカニズムと安定層内における熱やエネルギー、そして物質輸送過程に関する知見を得る。鳥谷 均
NPO法人圃場診断システム推進機構
2023.4.1~2024.3.31
6. ブナ葉枯れ病線虫の調査ブナの葉の特徴的な病巣からブナ葉枯れ線虫が分離されるものの、病原体としての断定に至っていない。今回、病徴を示すブナから線虫を採集して季節変遷を追い、病気との関連を調べていく。長谷川 浩一
中部大学応用生物学部環境生物科学科
2023.4.4~2024.3.31
7. カエデ属における冬季の日長認識に関与する光受容器官の適応進化落葉樹には、冬から春にかけての日長の変化を認識し、開芽時期を調節する種がいる。これまでの調査から、カエデ属ではこの日長認識に機能する光受容器官に種間変異があり、これはは生育している光環境と関連することが明らかとなった。本調査では、光受容器官の種間変異が光環境に対する適応進化によって形成されたのか否かを明らかにするため、カエデ属各種が生育している光環境を定量化することを目的とする。大野 美涼
岩手大学大学院連合農学研究科(弘前大学配属)
2022.10.17~2024.3.31
8. 日本産カエデ属樹種における性表現と繁殖投資との関係雌雄異株植物は、「花粉制限が起きやすい」「雄株が種子散布に貢献しない」という不利を抱えている。不利を補うための要因として「花数や種子数が多い」「種子サイズが大きい」という仮説がある。本研究では先述の仮説を確かめるために、カエデ属の雌雄異株樹種と両性樹種の間で、花数、種子数、種子サイズを比較し、性表現と繁殖特性の関係を調べる。加藤 拓磨
大阪公立大学大学院理学研究科生物学専攻
2023.4.20~2023.12.31
9. 鈴木 龍晟
筑波大学生物学学位プログラム
2023.4.1~2024.3.31
10. ➀植生再生過程における植物-送粉者ネットワークの構造および植物の繁殖成功の変化
➁花を利用する捕食者と虫媒植物の関係
➀本研究では、造成時期が異なる新・古スキー場の送粉ネットワーク(PN)の状態や優占植物種の繁殖成功を比較し、以下の予測を検証する。新スキー場は、古スキー場に比べ、(1)PNはジェネラリスト化し、虫媒種の結実率が低くなる。また、新スキー場では、(2)造成時期が古い場所ほど、虫媒植物の種・機能的多様性が高くなり、PNはよりスペシャリスト化している。
➁菅平高原実験所内での長期間にわたるクモ類及び開花植物の調査を行うことで、
1)クモ類は狩場として多様な種に訪花されるジェネラリスト媒の開花植物を多く利用する
2)クモの分類群によって狩場とする植物の形質及び利用場所が異なる
以上二つの仮説を検証することを目的とする。
平山 楽
神戸大学人間発達環境学研究科
2023.4.1~2024.3.31
11. 一般市民との協働による生涯学習の場「みんなの標本庫」での菌類及び地衣類標本整備に向けた手法開発菅平高原実験所の標本庫を市民との協働で再整備し、地域に根差し且つ社会的意義のある場としての利活用を深化させる。
(2023年度笹川科学研究助成)
山中 史江
筑波大学生命環境系技術室(菅平高原実験所)
2023.4.1~2024.3.31
12. 降積雪を中心とした気象測器の設置環境と測定値の関係に関するデータ収集と調査既存の気象観測に含まれる測定値に対する観測点周辺環境の影響を評価するための基礎資料の収集西森 基貴
農研機構・農業環境研究部門
2023.4.1~2024.3.31
13. 日本およびユーラシア大陸のツキノワグマの保全遺伝学的研究日本およびユーラシア大陸のツキノワグマの保全遺伝学的研究のためのデータ解析補助・サポートを津田吉晃准教授にしていただく。Guskov Valentin(グシコフ・ヴァレンティン)
Federal Scientific Center of the East Asia Terrestrial Biodiversity(ロシア)、森林総合研究所東北支所(国内滞在期間)
2023.5.8~2023.6.30
14. 生物多様性影響評価に必要な自生セイヨウナタネ(Brassica napus)の生態遺伝学的研究日本は現在多くの遺伝子組換えナタネを輸入している。輸入に際してカルタヘナ法を基に生物多様性影響評価が実施される。わが国には、明治次代後期より日本全国的に河川敷の主要構成種である自生ナタネが存在しているが、外来種であるという観点から生物多様性影響評価から除外されている。本研究では、外来種であるからといって自生ナタネをカルタヘナ法から除外するのではなく、遺伝子組換えナタネの導入による環境影響評価を生態遺伝学的に研究することを目的としている。柳 江莉那
筑波大学生命環境科学研究科生物圏資源科学専攻
2023.4.1~2024.3.31
15. 海洋生態系保全に向けた、地球温暖化で分布移動する魚類の集団ゲノミクス動態の解明地球温暖化による海洋魚類への影響予測を最終目的として、カワアナゴ科魚類を対象に集団遺伝学、生物地理学、生態学、形態学および海洋物理学的研究を行い、過去~現在の遺伝構造・集団動態の歴史を解明する。山川 宇宙
筑波大学大学院生命環境科学研究科生物科学専攻
2023.4.1~2024.3.31
16. 卒業研究:日本産担子菌門ヒラタケ型菌類の探索・分類上記卒業研究に必要な技術などの習得黒﨑 裕貴
筑波大学生命環境学群生物学類
2023.5.8~2023.5.12
17. ジェネラリスト送紛者は個体レベルでスペシャリストとなりうるか:野外環境下における検証本研究では、ジェネラリスト送紛者とスペシャリスト送紛者に着目して、野外環境下において送紛者が花を連続的に訪花する際にどのような要因が影響しているのか、そして定花性的行動が植物の繁殖成功にどのように寄与するのかを明らかにすることを目的とする。
昨年度の研究において、ジェネラリストと考えられる送紛者分類群であっても、比較的同種を連続して訪花する傾向が高いことが明らかとなった。そこで今年度は、そのような連続訪花を引き起こす植物側の要因を明らかにするため、花色や植物高などに着目したプロットの設置を行う。厳密に定花性のみを評価することは難しいため、野外環境下における植物の繁殖戦略を明らかにしたい。
瀬尾 夏未
神戸大学人間発達環境学研究科
2023.6.23~2024.3.31
18. 菌類の細胞内共生細菌に関する研究菅平高原実験所内より分離される菌類、特に Mortierella 属菌における細胞内共生細菌の遺伝的多様性を明らかにする。菅平高原実験所では菌類の分離に用いるリターの採集を行う。高島 勇介
農研機構・遺伝資源研究センター微生物資源ユニット
2023.5.12~2024.3.31
19. 寄生性ケカビ目菌の研究菌学会に向けた実験及びデータ整理前川 直人
茨城県林業技術センター
2023.4.30~2023.5.5
20. 表層性のトビムシの採集と観察トビムシの採集、同定法を理解する長谷川 元洋
同志社大学理工学部
2023.6.11~2023.6.11
21. カラマツ林の葉面積指数の連続観測による葉群フェノロジーの年次変化の評価2018年12月に気候変動適応法が施行され、長野県は2019年4月に信州気候変動適応センターを設置した。信州気候変動適応センターは、気候変動の実態把握、予測、影響評価を行うことで、地域の気候変動適応策を促進することが重要な課題となっている。本研究では気候変動が信州カラマツに及ぼす影響を評価するため、カラマツ林の葉面積指数と気温の連続観測を継続し、近年の急激な気温上昇に伴う葉群フェノロジーの変化を明らかにすることを目的とする。栗林 正俊
長野県環境保全研究所
2023.4.1~2024.3.31
22.
23. 昆虫(無脊椎動物)嗜好性線虫の分類と多様性
この目的のため、今回の調査では、ハナバチ類、甲虫類の試料を手捕りで採集する。
昆虫(無脊椎動物)嗜好性線虫の分類と多様性、生態的関係を基礎研究として調査する。また、この過程で得られた特殊な生理、生態的特徴を持つ種類に関しては、モデル(研究材料)として、他の研究分野への応用を行う。神崎 菜摘
森林総合研究所関西支所
2023.6.1~2023.10.31
24. 昆虫等寄生菌類に関する研究 水系に生育する昆虫および節足動物寄生菌の採集を行う。佐藤 大樹
森林総合研究所
2023.6.11~2023.6.13
25. 菅平高原実験所内のアリの多様性調査菅平高原実験所構内でアリ類の調査を行う。近藤 正樹
近藤蟻蜘蛛研究所
2023.6.11~2023.6.12
26. ジェネラリスト送紛者は個体レベルでスペシャリストとなりうるか:野外環境下における検証本研究では、ジェネラリスト送紛者とスペシャリスト送紛者に着目して、野外環境下において送紛者が花を連続的に訪花する際にどのような要因が影響しているのか、そして定花性的行動が植物の繁殖成功にどのように寄与するのかを明らかにすることを目的とする。
昨年度の研究において、ジェネラリストと考えられる送紛者分類群であっても、比較的同種を連続して訪花する傾向が高いことが明らかとなった。そこで今年度は、そのような連続訪花を引き起こす植物側の要因を明らかにするため、花色や植物高などに着目したプロットの設置を行う。厳密に定花性のみを評価することは難しいため、野外環境下における植物の繁殖戦略を明らかにしたい。
瀬尾 夏未
神戸大学人間発達環境学研究科
2023.6.23~2024.3.31
27. 低地と高原地帯の植生の変化本校の探究学習の一環として低地と高原地帯の植生の違いと変化、また菅平高原の気候について見て、聞いて、匂いで、肌で感じることを目的に自然学習を行う。とともに菅平高原の抱える膨大な自然資源をどのようにして観光誘致に結びつけているのか社会学的・観光学的観点から考察する。関口 和也(小林 稜弥)
上田西高等学校
2023.5.31~2023.5.31
28. 半自然草原下におけるイノシシの掘り起こし深度の違いが草地植生及び送粉者に与える影響攪乱は生態系の構造や動態に変化をもたらす主要因の一つである。生態系の中でも、草原は攪乱とのかかわりが強い。草原には特有の動植物が見られ、生物多様性が高いことが知られている。しかし、管理者不足などの社会的な問題に起因する攪乱機会の減少によって、草原生態系は貴重な存在になりつつある。攪乱の中でも、草食動物による攪乱は、自然由来の攪乱として、植生などに影響を与えている。例えば、シカなどによる地上部の植物の摂食やイノシシによる土壌の掘り起こしがあげられる。その中でも、イノシシによる土壌の掘り起こしは、地上部のみならず地下部に対しても直接的な影響をもたらすものから、ほかの大型採食動物には見られない特異的な攪乱であると言える。くわえて、掘り起こしの深さにはばらつきがみられる。これは、同一行動内で攪乱強度に多様性が存在することを意味する。既往の研究で、イノシシの掘り起こしが植物群落の多様性に関与する可能性が言及されているが、掘り起こし強度(深度)の違いが植物群落にもたらす効果について言及した事例、特に草原生態系に対する知見は存在しない。さらに掘り起こしがもたらす草原生態系への間接的な影響についても、これまで評価されていない。ここで言う間接的な影響として、植物群落を介した送粉者への影響が考えられる。一般的に、植物の多様性と送粉者の多様性には相関があることから、イノシシによる掘り起こし深度にともなう植物群落の多様性が送粉者の多様性に作用している可能性は否定できない。しかし、掘り起こしがもたらす植物ー送粉者共生系への作用の理解はいまだ進んでいない。
 そこで本研究では、イノシシによる掘り起こしの生態学的意義の解明に向け、草原における本種の掘り起こし、植生物、送粉者の三者関係を明らかにする。その際、特に掘り起こしの深さがもたらす効果に着目して調査を実施する。
梅田 悠起
近畿大学大学院農学研究科環境管理学専攻
2023.6.20~2024.3.31
29. 実習科目名「自然環境調査法」:ススキ草原と夏緑広葉樹林に生息する生物を対象とした,生物調査法に関する実習生物の採集法、観察法、標本作製法、同定法を実地で学ぶことが目的である。菅平高原実験所内の草原植物、草原性および森林性昆虫を材料に上記の目的を達成するための実習を行う。塘 忠顕
福島大学共生システム理工学類
2023.9.4~2023.9.8
30. 長野県植物誌改訂にかかる調査長野県植物誌改定作成にあたり、上田地域の植物分布状況を調べ、さく葉標本を作成して筑波大学菅平高原実験所内のハーバリウムに随時収納する。川上 美保子
長野県植物誌改訂委員会上田地区
2023.4.1~2024.3.31
31. 様々な野生生物を対象とした遺伝的多様性および遺伝構造に関する研究様々な野生生物を対象とした遺伝解析を行い、その遺伝的多様性および遺伝構造を明らかにする。兼子 伸吾
福島大学共生システム理工学類
2023.5.1~2024.3.30
32. 田中健太准教授代表の環境推進費プロジェクト「歴史が生み出す二次的自然のホットスポット:環境価値と保全効果の「見える化」」菅平高原内の森林・草原において、植物と共生する微生物の多様性を探索的に調べ、歴史の古い草原の多様性および生態系サービスの高さをか明らかにする。丑丸 敦史
神戸大学人間発達環境学研究科
2023.6.12~2023.11.30
33. 網翅類の比較発生学的研究系統学的議論の定まらない生物群の系統進化学的理解において、各群のグラウンドプランの構築が可能な比較発生学的アプローチは、有効な方法の一つである。昆虫類のうち、その98%は新翅類というグループが占めているが、この新翅類の初期の爆発的放散に直接由来した多新翅類の一群である網翅類(ゴキブリ目+シロアリ目+カマキリ目)は、昆虫類を理解する上で鍵を握る重要なグループの一つである。以上から、網翅類内の全てのグループを対象とした包括的比較発生学的検証を行い、類内のグラウンドプランの構築と系統進化学的議論の発展を目的に研究を行う。藤田 麻里
慶應義塾大学法学部
2023.4.1~2024.3.31
34. 植物病害が法⾯樹⽊の炭素収⽀に及ぼす影響評価本研究では、植物病害が法面に生育する植物の成長を抑制することを示す。緑化された法面は、維持管理に手間とコストがかかる。本研究では植物―病原菌の炭素収支を計測することで、病原菌が法面植物に対して致死しない程度にその成長を妨げることを示す。生物間相互作用が安定的な植物量を維持し、低コスト管理法となる可能性について探る。増本 翔太
筑波大学生命環境系
2023.6.12~2023.12.1
35. 貧栄養高地環境でアブラナ科植物と共生する内生菌の単離および性状解析貧栄養かつ高地環境で自生するアブラナ科植物の植物組織を採取してそこから内生菌を単離する。その後、内生菌が植物の生存に関わる役割を晝間の研究室内などで明らかにする。晝間 敬
東京大学大学院総合文化研究科
2023.6.1~2024.3.31