2024年度研究課題一覧
随時更新しています。
研究課題名(受付順) | 概要 | 研究代表者・所属 | 実施期間 |
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1. 昆虫類の比較発生学的研究 | 昆虫群を比較発生学の観点から検討し、昆虫類の高次系統、グラウンドプランの構築を目指す。 | 町田 龍一郎 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2024.4.1~2025.3.31 |
2. 菅平高原地域の菌類調査 | 日本列島の中央部の長野県菅平高原に分布する菌類を調査し、日本の菌類の種多様性の解明ためのデータを収集する。マツカサタケの発生する地点で、環境調査や松毬と土壌の採取をおこなう。 | 根田 仁 | 2024.4.26~2024.4.28 |
3. 森林におけるツル植物の純一次生産量への貢献 | 森林におけるつる植物が、森林全体の物質生産にどのような影響を与えているのかを明らかにする。 | 谷岡 庸介 筑波大学 | 2024.4.1~2025.3.31 |
4. 森林におけるツル植物の分布の研究 | 森林におけるツル植物が、幼樹から成木になるまでの間にどのように成長し、周りの環境の影響を受けているのかを明らかにする。 | 鈴木 元康 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.18~2025.3.31 |
5. 降積雪を中心とした気象測器の設置環境と測定値の関係に関するデータ収集と調査 | 既存の気象観測に含まれる測定値に対する観測点周辺環境の影響を評価するための基礎資料の収集 | 西森 基貴 農研機構・農業環境研究部門 | 2024.4.1~2025.3.31 |
6. クリタケ属菌の分類学的研究 | クリタケ属菌のニガクリタケは、日本では従来 Hypholoma fasciculare の学名が与えられていたが、近年の研究により、形態的にも遺伝的にも類似する Hypholoma subviride も日本に分布することが判明した。本研究では、両種の単相培養株を確立し、交配試験を行うことにより、生殖隔離が生じているかどうか試験することを目的としている。 | 升本 宙 信州大学農学部 | 2024.4.27~2025.3.31 |
7. 山岳遺伝資源管理 | 指導教員である津田吉晃准教授と研究打合せを行う | Ian E Neville 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.8~2024.4.12 |
8. ➀植生再生過程における植物-送粉者、植物-植物性昆虫ネットワークの変化 ➁花を利用する捕食者と虫媒植物の関係 | ➀本研究では、歴史の異なる草原(新草原・古草原)の送粉・植食ネットワークの状態を比較し、以下の予測を検証する。新草原は、古草原に比べ、(1)送粉者および植食性昆虫の多様性は低くジェネラリスト化する。また、新草原では、(2)造成時期が古い場所ほど、虫媒植物の種・機能的多様性が高くなり、ネットワークはよりスペシャリスト化している。 ➁菅平高原実験所およびスキー場内でのクモ類の調査を行うことで 1)クモの分類群や形質特性によって狩場とする植物の花形質及び利用場所が異なる 以上の仮説を検証することを目的とする。 | 平山 楽 神戸大学人間発達環境学研究科 | 2024.4.15~2024.10.31 |
9. 一般市民との協働による標本庫APG体系移行と教材用菌類標本整備及び青少年の参加促進に向けた手法開発 | 菅平高原実験所標本庫の再整備を市民と協働で進めるとともに、子供たちが参加できる機会を設け、標本庫を中心とした幅広い活動を展開する。(2024年度笹川科学研究助成) | 山中 史江 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2024.4.1~2025.3.31 |
10. 昆虫(無脊椎動物)嗜好性線虫の分類と多様性 | 昆虫(無脊椎動物)嗜好性線虫の分類と多様性、生態的関係を基礎研究として調査する。また、この過程で得られた特殊な生理、生態的特徴を持つ種類に関しては、モデル(研究材料)として、他の研究分野への応用を行う。 | 神崎 菜摘 森林総合研究所関西支所 | 2024.5.1~2025.3.31 |
11. 菅平盆地で形成される接地逆転層「冷気湖」形成時に、気温と風の分布や変動で見られる特徴的な大気現象の解明 | 盆地底と菅平高原実験所との気温の差から求めた大気安定度指標を用いて、気温と風の変動の特徴を明らかにする。また、この大気安定度は、夜間冷却の強さと大気中の物質輸送過程に関係することから、ここで求めた大気安定度の指標を用いて、気温と風の変動から、盆地内の夜間冷却と夜間の気温形成のメカニズムと安定層内における熱やエネルギーと物質輸送過程に関する知見を得る。これらから、菅平盆地で見られる特徴的な気象現象を説明する。 | 鳥谷 均 NPO法人圃場診断システム推進機構 | 2024.4.1~2025.3.31 |
12. Hymenoscyphus fraxineus の子嚢胞子接種によるトネリコ類の抵抗性評価 | セイヨウトネリコ、ホソバトネリコ等の外国産トネリコ類の H. fraxineus 子嚢胞子感染に対する抵抗性を評価する。 | 山岡 裕一 筑波大学生命環境系 | 2024.4.1~2025.3.31 |
13. ツヤヒラタハバチの発生学的研究 | 広腰亜目原始系統群のナギナタハバチ科、ヒラタハバチ科の胚発生過程を明らかにし、先行研究と比較して膜翅目および完全変態類のグラウンドプランの再構築をする。 | 山本 鷹之 愛媛大学理工学研究科 | 2024.4.11~2025.3.31 |
14. 日本産カエデ属樹種における性表現と繁殖投資との関係 | 雌雄異株植物は、「花粉制限が起きやすい」「雄株が種子散布に貢献しない」という不利を抱えています。不利を補うための要因として「花数や種子数が多い」「種子サイズが大きい」という仮説があります。本研究では先述の仮説を確かめるために、カエデ属の雌雄異株樹種と両性樹種の間で、花数、種子数、種子サイズを比較し、性表現と繁殖特性の関係を調べます。 | 加藤 拓磨 大阪公立大学大学院理学研究科生物学専攻 | 2024.5.1~2024.12.31 |
15. 交通騒音が鳥類相及び生物群集に及ぼす影響について | 人間活動に伴う交通騒音の増加は、道路周辺の動物に悪影響を及ぼす。先行研究では森林生の鳥類と草原性の鳥類のそれぞれで出現個体数等への悪影響が報告されているが、植生間で交通騒音による影響を検証した例は少ない。また、 交通騒音によって鳥類の個体数が減少することで、鳥類の餌動物である昆虫類の個体数もまた変化する可能性がある。そこで、交通騒音を生息地内で再生することで、交通騒音の強弱や植生の違いが生物群集にどのような影響を及ぼすかを明らかにする。本研究で得られる知見は生物多様性の保全への貢献が期待される。 | 鈴木 龍晟 筑波大学大学院生物学学位プログラム | 2024.4.15~2025.3.31 |
16. 両生類の卵塊に共生する緑藻の研究 | 両生類の卵塊に共生する緑藻について、系統分類学的研究を行うこと | 成田 紗由美 筑波大学生命環境群生物学類 | 2024.4.22 |
17. ゴキブリ目および網翅類の比較発生学的研究 | 系統学的議論の定まらない生物群の系統進化学的理解において、各群のグラウンドプランの構築が可能な比較発生学的アプローチは、有効な方法の一つである。昆虫類のうち、その98%は新翅類というグループが占めているが、この新翅類の初期の爆発的放散に直接由来した多新翅類の一群であるゴキブリ類は、昆虫類を理解する上で鍵を握る重要なグループの一つである。以上から、ゴキブリ類内の全てのグループを対象とした包括的比較発生学的検証を行い、類内のグラウンドプランの構築と系統進化学的議論の発展を目的に研究を行う。 | 藤田 麻里 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2024.4.1~ 2025.3.31 |
18. 異なる地理的スケールにおけるバイカモ類の集団遺伝学的構造の解明―保全・再生活動への応用― | 水生植物は水圏生態系において、生物多様性への寄与や水質浄化作用など重要な役割を果たしており、バイカモもその一つである。しかし、バイカモは急速な開発や改修、水質汚濁の影響で近年急速に分布を減少しており、適切な管理・保全が必要である。このような種の保全策提案には地域集団の遺伝的多様性、地域集団間の分化やその歴史推定についての情報が重要となり、特に水生植物の場合、地域流域内での水の流れの向きや移動分散を考慮した繁殖様式や遺伝構造の評価も必須である。しかしバイカモではこれらの情報は十分に蓄積されていない。そこで本研究ではバイカモの分布パターンを全国から地域スケールでより詳細に評価すべくバイカモ類を対象に日本全国からサンプルを採取し、広域スケールでの母性遺伝する葉緑体DNA、両性遺伝する核DNAおよびゲノム情報を用いた集団遺伝学的解析を行う。これにより本研究では日本国内の広域スケールでの遺伝情報をもとにした保全単位の地域性や保全優先度の高い地域を提案し、地域スケールでの結果をもとのバイカモの繁殖生態、生活史特性を解明することを目的とする。 | 中城 拓真 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
19. 草原・森林・草原の進化生態学・保全生態学 | 菅平高原実験所、菅平高原、中部山岳地域を中心とした草原・森林・草原のフィールドにおいて、植物や植物と相互作用している動物・微生物を対象にして、生物多様性がどのように形成されてきたのかという進化過程、生物の個体群・群集がどのように次世代を築いているのかの過程を理解し、生物多様性をどのように保全すれば良いのかという解決策を見いだす。 | 田中 健太 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2024.4.1~2025.3.31 |
20. 歴史の古い草原の審美的価値/花形質に対する人々の選好性 | 菅平・峰の原地域において継続期間の異なる草原に生息する植物の花を対象として、 (1)人々はどのような形質の花を好むか、(2)美しい花は歴史が古い草原に依存しているか?、(3)歴史の古い草原景観は審美的価値が高いか、の3つの問いを明らかにすることを目的とする。 | 冨髙 まほろ 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2024.4.1~2025.3.31 |
21. 節足動物の発生学的研究 | 節足動物の発生学的研究から系統進化を考察する | 福井 眞生子 愛媛大学理工学研究科 | 2024.4.20~2025.3.31 |
22. 標高万能植物ミヤマハタザオを用いた生活史遺伝子同定 | 種内で資源配分比・生活史が異なる植物(ミヤマハタザオ)を用いて、資源配分比・生活史と関連がある遺伝子領域を同定し、遺伝学の知見とすることを目的とする。 | 土井 結奈 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
23. カラマツ林の葉面積指数の連続観測による葉群フェノロジーの年次変化の評価 | 2018年12月に気候変動適応法が施行され、長野県は2019年4月に信州気候変動適応センターを設置した。信州気候変動適応センターは、気候変動の実態把握、予測、影響評価を行うことで、地域の気候変動適応策を促進することが重要な課題となっている。本研究では気候変動が信州カラマツに及ぼす影響を評価するため、カラマツ林の葉面積指数と気温の連続観測を継続し、近年の急激な気温上昇に伴う葉群フェノロジーの変化を明らかにすることを目的とする。 | 栗林 正俊 長野県環境保全研究所 | 2024.4.1~2025.3.31 |
24. 継続期間の異なる草原と森林の根系量、根系強度と斜面防災機能の解明 | 草原の継続期間や履歴による違いが植物の地下部を構成している根系にどのように影響を与えているか研究を行い、長期にわたって古い草原に生息する植物の生存戦略、草原の斜面防災機能について明らかにしていくことを目的としている。 | 入江 瑞生 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
25. 長期にわたって維持されてきた草原に生息する植物種の根系量と防災機能 | これまでに、草原の継続期間とともに生物多様性が高くなっていることが分かっている。また歴史の古い草原は、生物多様性だけでなく、様々な生態系サービスが高い可能性がある。その中で私は、歴史の古い草原に高い斜面防災機能がある可能性に着目した。歴史の古い草原には根系が大きい植物種が多く、私はこれが斜面防災機能を高めているのではないかと考えた。そこで私は、歴史の古い草原の斜面防災機能について理解を進めることを目的として、古い草原は新しい草原や森林に比べて根系量が多いという作業仮説の立証するため、根系量が歴史の古い草原で多いのかを、同一地域の新しい草原や森林との比較によって検証した。 | 寺嶋 悠人 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
26. GPS・UAV・集団ゲノミクスを用いたツキノワグマの移動分散動態の解明 | ツキノワグマのGPSデータ・UAVによる微地形データ・遺伝情報の集団ゲノミクス解析により、ツキノワグマの移動分散動態を評価する | 小井土 凜々子 筑波大学大学院生物学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
27. 変形菌 Arcyria cinerea の種概念についての検討 | 著しい形態的多様性が知られている Arcyria cinerea について、微細形態の観察や分子系統解析を通し、本種に見られる種内変異を解析し、その多様性の解明、種概念についての検討を目的とする。 | 上辰 俊広 筑波大学大学院生物学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
28. Laboulbeniomycetes の培養法の確立 | 節足動物に外部寄生するラブルベニアの培養法の確立および多様性の研究 | 田中 凌太 筑波大学大学院教育学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
29. 真菌類における節足動物の腸内生の進化過程の解明 | 真菌類において節足動物の腸内に生息する生活様式はキクセラ亜門にのみ見られる独自の生態であり、その生活様式の進化過程は謎に包まれている。本研究では腸内への付着構造に着目し、キクセラ亜門の微細構造を網羅的に観察・比較することで、キクセラ亜門の系統関係の再構築を行い、腸内生の進化過程を明らかにする。 | 李 知彦 筑波大学大学院生物学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
30. 菌類の自然史に関する研究(菅平高原実験所内の菌類相、接合菌類・ツボカビ類の系統分類、融雪菌群の生活史、動物と相互作用する菌類の多様性) | 菅平高原実験所内に生息する菌類のフロラを解明する。特に接合菌類・ツボカビ類等のいわゆる下等菌類に相当する分類群、多様性、融雪時に出現する菌類・動物との相互作用を示す菌類等の生態群に関する自然史に関する研究を進める。 | 出川 洋介 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2024.4.1~2025.3.31 |
31. ムカデ綱の糞生菌とその特異性について | ムカデ綱の糞には特異的な菌類が存在する。また、イシムカデ目やオオムカデ目などの、目によって異なる糞生菌相がみられる。ムカデ綱の糞生菌相に影響する事象を解明する。 | 清原 広海 筑波大学大学院生物学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
32. 人為的管理に違いに伴い成立するススキ草地(管理地・非管理地)及びアカマツ二次林におけるBNPPに関する研究 | 炭素循環に立脚した草原生態系の機能的価値の再評価及び管理提言を目的に、人為的管理の異なるススキ草地(刈り取り管理・管理放棄)、及び管理放棄に伴い天然更新したアカマツ林における根バイオマス量(BNPP)の季節的変動の違いについて明らかにする。 | 西平 貴一 筑波大学大学院環境学学位プログラム | 2024.4.30~2024.5.2 |
33. 菅平高原と周辺地域における味噌玉を用いた味噌づくりの記録 | ・菅平高原における民間の玉味噌作りの記録 ・味噌玉に発生する微生物相の解明 ・菅平高原での味噌玉の変遷の考察 | 奥村 颯 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
34. 植物群集の種組成が異なるスキー場の、送粉群集構造の比較 | 外来植物種の割合が多いスキー場と在来植物種の割合が多いスキー場の、送粉者群集の分類群組成、植物群集の花形質組成、各送粉者の訪花ニッチ、および訪花者の捕食者であるハナグモ類の組成を比較することで、外来植物種の移入が送粉系に与える影響を把握する。 | 石井 博 富山大学理学部 | 2024.6.1~2024.10.31 |
35. 半自然草原下におけるイノシシの掘り起こし攪乱の多様性が草原植生に与える影響 | 野生動物による攪乱の中でも環境に与える影響が特異的なイノシシの掘り起こしが草原の植物群集に与える影響の解明を目的とする。その際に、掘り起こしの深さや形状の違いといった攪乱形態の多様性がもたらす影響についても、掘り起こしを模した人工攪乱を用いて評価する。 | 梅田 悠起 近畿大学大学院農学研究科 | 2024.4.1~2025.3.31 |
36. 海洋生態系保全に向けた、地球温暖化で分布移動する魚類の集団ゲノミクス動態の解明 | 地球温暖化による魚類への影響予測を最終目的として、カワアナゴ科魚類を対象に集団遺伝学、生物地理学、生態学、形態学および海洋物理学的研究を行い、過去から現在にかけての分布変遷、分散過程、遺伝構造および集団動態の歴史を解明する。 | 山川 宇宙 筑波大学大学院生命環境科学研究科 | 2024.4.1~2025.3.31 |
37. 長野県上田市の農業用ため池堰堤の耐震工事前後における希少植物の追跡 | 古くは数百年前から続くため池。草刈りや火入れなど、人の営みによって維持管理され、希少植物の生息地となってきた。 しかし、東日本大震災、菱日本豪雨を受けて、農業用ため池の防災工事が進んでいる。工事は堰堤を掘削する必要があり、生息する植物への影響が懸念される。そこで指導教官の提案により、5年ほど前から希少植物へ配慮した工法を採用してきた。 本研究においては、追跡調査を行い、植物配慮工法がどの程度有効なのかを検証する。 | 市野 祥子 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
39. 土壌抽出液作成のための土壌採集 | 原生生物培養用培地に使用する土壌抽出液を作成するために広葉樹林から土壌を採集する | 白鳥 峻志 筑波大学生命環境系 | 2024.5.13 |
40. ラブルベニア菌寄生昆虫の採集 | 主として双翅目・鞘翅目昆虫を採集し、ラブルベニア寄生個体を回収する。 | 澤村 京一 筑波大学生命環境系 | 2024.5.23~2025.3.31 |
41. 歴史が生み出す二次的自然のホットスポット:環境価値と保全効果の「見える化」 | これまで考慮されていなかった生態系の歴史を組み込むことで、(1)二次的自然の生物多様性を従来よりはるかに高い精度で現状予測して全国レベルで地図化するとともに、(2)草原の歴史が生物多様性と環境価値に与える効果を全国及びモデル地域で現場検証し、(3)草原の管理実態と消失速度に基づく将来予測によって保全効果を把握する。これによって、二次的自然の生物多様性ホットスポットの分布・環境価値・保全効果を「見える化」する。 | 田中 健太 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2023.4.1~2026.3.31 |
42. 六脚類の頭部内骨格の進化的変遷 | 昆虫はそのコンパクトな頭部に刺激受容と情報統合、摂食という生存に不可欠な複数の機能を同時に備える優れたボディプランをもち、これらの機能を洗練させることによりあらゆる環境に適応、多様化してきた。有翅昆虫の頭部内にみられる「幕状骨」は、外胚葉性陥入の融合により形成される幕状の強固な骨組みで、複眼や脳を格納する大きな頭蓋の土台であるとともに、筋肉の付着点として大顎・小顎の運動機能を支えている。本研究は、発生過程、特に昆虫頭部内骨格の脱皮時の形態変化に着目することにより、幕状骨をはじめとする頭部内骨格に起きてきた段階的イノベーションと、昆虫類の進化的成功との関連を明らかにする。 | 福井 眞生子 愛媛大学大学院理工学研究科 | 2024.4.1~2025.3.31 |
43. JSPS-イタリアCNR共同研究・気候変動下の森林保全に向けた森林樹木の標高に沿った環境適応および平行進化の解明 | JSPS-イタリアCNR共同研究・気候変動下の森林保全に向けた森林樹木の標高に沿った環境適応および平行進化の解明の一環として、研究セミナー、現地調査および研究打合せを行う | 津田 吉晃 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2024.5.18~2024.5.21 |
44. 野外生態系におけるヤマハタザオと Colletotrichum 属菌の相互関係の観察と考察 | ヤマハタザオに感染した Colletotrichum 属菌が、実際に野外生態系にて宿主とどのような相互関係を築いているのか、植物の追跡観察と DNA 解析によって調査・考察する | 鈴木 暁久 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
45. ツキノワグマのアーバン化抑止と保護管理に向けた景観ゲノミクス的研究 | 野生動物が本来の生息域から人間の生活圏に分布拡大し、新たな環境に適応する“アーバン化”は近年、世界的な問題となっている。日本では、本州・四国に生息し、森林生態系の重要な構成種であるツキノワグマ(以下、クマ)の人里への出没及び農林業・人身被害が増加していることから、鳥獣保護管理法に基づく指定管理鳥獣に指定され(環境省 2024)、クマのアーバン化の抑止が喫緊の課題となっている。そこで本研究では、中部山岳域に生息するクマを対象とした景観ゲノミクス研究を行い、アーバン化に関連する遺伝子・ゲノム領域の探索および高精細な血縁構造解析により、アーバン化リスクの早期評価と抑止を念頭においたクマ地域集団の新しい保護管理手法の確立を目的とする。 | 松本 拓馬 筑波大学大学院農学学位プログラム | 2024.5.21~2025.3.31 |
46. 北アルプスに侵入しているニホンジカの集団遺伝学的動態に関する研究 | 集団ゲノミクス解析を用いて、北アルプスに侵入したニホンジカ集団の遺伝的多様性の把握し、長野県内外の北アルプス周辺地域の個体との遺伝構造の関係性の解明する。これらの成果を踏まえて、北アルプスにおけるニホンジカの有効な個体数管理手法を提唱するとともに、森林生態系の保全に寄与する。 | 熊瀨 卓己 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
47. 冷温帯半自然草原および二次林の炭素貯留量とその変化パターンの解明 | 冷温帯の半自然草原および二次林の炭素貯留量および純一次生産量の推定 | 廣田 充 筑波大学生命環境系 | 2024.6.1~2025.3.31 |
48. 実習科目名「自然環境調査法」:ススキ草原と夏緑広葉樹林に生息する生物を対象とした,生物調査法に関する実習 | 生物の採集法、観察法、標本作製法、同定法を実地で学ぶことが目的である。菅平高原実験所内の草原植物、草原性および森林性昆虫を材料に上記の目的を達成するための実習を行う。 | 塘 忠顕 福島大学共生システム理工学類 | 2024.8.26~2024.8.30 |
49. 昆虫類の比較発生学的研究 | シミ目昆虫の胚発生における腹板形成過程を詳細に観察する。 | 増本 三香 北里大学一般教養部 | 2024.6.1~2025.3.31 |
50. 菌類の構造、造形の美しさをガラスで表現する事への探求 | 菌類、変形菌の採集と観察 カビの採集と観察、粘菌の採集と観察したものを展示のためのガラスアート作品のモチーフにするため | 柴田 めいこ 変形菌研究会 | 2024.5.24~2025.3.31 |
51. 古草原ー森林ー新草原への植生の変化が植物根を含めた土壌炭素量に及ぼす影響 | 菅平高原、中部山岳地域を中心とした草原・森林・草原のフィールドにおいて、層位の対応を確認しながら根系量・炭素量の深度分布を明らかにすることを目的とする。 | 加藤 拓 東京農業大学 | 2024.6.18~2025.3.31 |
52. 植物の地上部地下部形質と生態系サービスの関係解析 | 上記の研究テーマのために、植物の根の形質測定を実施する | 黒川 紘子 森林研究・整備機構森林総合研究所 | 2024.5.1~2025.3.31 |
53. 膜翅目昆虫原始系統群における翅原基の後胚発生様式に関する比較発生学的研究(昆虫綱:膜翅目:広腰亜目) | 膜翅目の中でも最原始系統群に位置付けられる「ツヤヒラタハバチ」をモデル材料に、翅原基の後胚発生様式を調べる目的で、構内に生息する本種メス成虫の採集調査を行う。 | 新津 修平 東京都立大学大学院理学研究科 | 2024.6.14 |
54. 日本各地の蟻相調査とクシケアリ類の比較生態調査・観察 | 実験所構内の各植生ごとの蟻類の被度指数を測定し、蟻相のタイプを査定する(昨年の継続調査)。所内全体の蟻相調査およびクシケアリの生態調査も行なう。 | 近藤 正樹 近藤蟻蜘蛛研究所 | 2024.6.17~2024.6.21 |
55. 気候変動下における国内外来種ヌマガエルの集団ゲノミクスおよび分布拡大リスク評価 | 在来集団および分布拡大集団におけるヌマガエルの分布拡大要因を解明し、気候変動下における本種の分布拡大リスク評価を行うことで生物多様性の保全・管理に繋げることを目的とする。 | 鎗田 めぐ 筑波大学大学院農学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
56. 菌類の多様性実習 | 東京大学の大学院向け講座「生物多様性生物学演習」にて利用する。園内にて採集を行い、観察に供する。 | 細矢 剛 国立科学博物館植物研究部 | 2024.6.27~2024.6.28 |
57. 大型担子菌(きのこ類)の分類と系統、野外での観察・採集方法/菅平など、長野県とその周辺の亜高山帯のきのこ相 | 出川 洋介 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2024.6.21~2024.6.23 | |
58. マルハナバチの花粉付着部位の限定が異種間花粉移動におよぼす影響 | 同時期に開花する植物種間では送粉者を介した異種間花粉移動が起こり、植物の繁殖に悪影響を及ぼす(Morales & Traveset 2008, Arroyo-Correa et al. 2024)。異種間花粉移動の回避機構として、葯の提示位置や送粉者の姿勢を安定させる花形態による、送粉者の花粉付着部位の限定が異種間花粉移動を抑えると推測されている(Huang & Shi 2013, Stewart et al. 2022)。しかし、実際に花粉付着部位の限定が他種への花粉流出および他種からの花粉流入を軽減するか、また、柱頭接触部位の限定がおよぼす影響は、先行研究で明確に示された例はない。そこで本研究では、花粉付着部位と柱頭接触部位の限定が柱頭の異種花粉受粉量を減少させることを、野外実験によって初めて検証する。 | 和田 渚 筑波大学大学院生物学学位プログラム | 2024.7.1~2024.8.31 |
59. 長野県植物誌改訂にかかる調査 | 長野県植物誌改定作成にあたり、上田地域の植物分布状況を調べ、さく葉標本を作成して筑波大学菅平高原実験所内のハーバリウムに随時収納する。 | 野口 健 長野県植物誌改訂委員会上田地区 | 2024.6.24~2025.3.31 |
60. 千曲川オオクチバスが周辺の野池から分布拡大した仮説検証 | 令和元年度台風19号以降に千曲川に現れたオオクチバスが、千曲川流域の野池から分布拡大した可能性の仮説検証。千曲川本流および野池でオオクチバスのサンプリングを行う。 | 倉知 匠 筑波大学大学院山岳科学学位プログラム | 2024.4.1~2025.3.31 |
61. 日本列島におけるニワトコの歴史生態学的研究 | 現在の日本にはニワトコの果実利用の事例はないにもかかわらず、縄文時代の遺跡からニワトコ属核が頻繁に出土しており、ニワトコは縄文人にとって重要な植物の1つだったことが想定される。本研究では、縄文時代からの人類の果実利用が現在のニワトコの生態や形質に影響を与えた可能性を検証するために、1) 現生のニワトコの果実・核・枝葉の形態分析と生育環境の調査、2) 遺跡出土ニワトコ属核の形態と産状の分析により、考古資料と現生の試料の両方を活用し、ニワトコという種の約数万年の歴史を復元することを目指す。筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所における調査では、1)のうち、中部地方におけるニワトコの形態分析と生育環境の調査を実施する。 | 平岡 和 北海道大学大学院文学院 | 2024.7.16~2024.9.31 |
62. 菅平菌類相調査 | 菅平高原実験所を中心とした菅平高原の菌類相を解明すること。 | 出川 洋介 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2024.4.9~2025.3.10 |
63. 菅平変形菌ワークショップ | 顕微鏡観察により、菅平高原および長野県、群馬県ほか各地で採集した変形菌の標本の種同定を行う。併せて、菅平菌類相調査時の標本整理活動も実施する。 | 出川 洋介 筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所 | 2024.4.9~2025.3.10 |
64. 山岳域の大気陸面相互作用データアーカイブ | 混交林の LAI 変動およびススキ草原における積雪構造の年々変動を明らかにする。 MSC機能強化に向けた調査研究の一環として、菅平高原実験所内で稼働している近年10年分の気象データ整理および測器のメンテナンスを行う。 | 上野 健一 筑波大学生命環境系 | 2024.8.8~2025.3.31 |
65. Capnofrasera 属ススカビの系統分類学的研究 | 実験所・樹木園内のシラビソ (Abies veitchii) などに生息する Capnofrasera 属ススカビを採取、詳細な同定を行い、同時に分離・培養を試みる。純粋分離・培養に成功すれば、分離株の DNA 塩基配列を決定し、分子系統学的解析を行う。 | 杉山 純多 東京大学 | 2024.10.8~2024.10.10 |
66. 植物生理学実習 | お茶の水女子大学理学部生物学科の実習「植物生理学実習」の実施。森林や草地における植物の生態・多様性について野外調査とデータ解析を行い、主に植物生理生態学、群集生態学的な観点からの研究に必要な調査・実験・解析の手法と考え方を習得することを目的とする。 | 岩崎 貴也 お茶の水女子大学基幹研究院 | 2024.9.17~2024.9.20 |
67. 菅平高原に生育する遺存分布植物についての保全遺伝学的研究 | 菅平高原に生育する遺存分布植物であるツキヌキソウ、カラフトイバラ、クロビイタヤなどについて野外調査を行うとともに葉サンプルを採集して DNA 解析を行い、北海道などの他地域との間の遺伝的関係性を明らかにすることを目的とする。 | 岩崎 貴也 お茶の水女子大学基幹研究院 | 2024.9.20~2025.3.31 |
68. 菌株保存状況の確認および菌株寄託に関する打ち合わせ | 利用者が菅平高原実験所に所属時の研究で得られた菌株等に関して、菌株の保存場所の確認および寄託までの段取りを相談するための打ち合わせを目的とする。 | 高島 勇介 農研機構遺伝資源研究センター | 2024.9.18~2024.9.19 |
69. Rhizopodopsisに関する研究打ち合わせ(Meeting about a reseach of Rhizopodopsis) | 修士課程時の研究指導者であった出川洋介准教授と研究打ち合わせを行い、Rhizopodopsis 属に関する研究の進捗状況を共有することを目的とする。 The objective is a research meeting with Associate Professor Yousuke Degawa, who was a research supervisor during the master’s course, to share the progress of the research of Rhizopodopsis. | ルディ ヘルマワン 富山大学 | 2024.9.18 |
70. 菅平産ツボカビ類の多様性および分類に関する研究 | 菅平産真菌類インベントリーの一環で、ツボカビ類の分類学的整理を行う。特に腐生性ツボカビおよびマメ科植物寄生性サビフクロカビを対象に、形態と分子系統解析に基づく分類学的検討を行う。 | 瀬戸 健介 横浜国立大学大学院環境情報研究院 | 2024.9.12~2025.3.31 |