菅平高原実験所の研究・計画

2026年度研究課題一覧

随時更新しています。

研究課題名(受付順)概要研究代表者・所属実施期間
1. 昆虫類の比較発生学的研究昆虫群を比較発生学の観点から検討し、昆虫類の高次系統、グラウンドプランの構築を目指す。町田 龍一郎2026.4.1~2027.3.31
2. 菅平変形菌ワークショップ顕微鏡観察により、菅平高原および長野県、群馬県ほか各地で採集した変形菌の標本の種同定を行う。併せて、菅平菌類相調査時の標本整理活動も実施する。姉崎 智子
群馬県立自然史博物館
2026.4.1~2027.3.31
3. イノシシの掘り起こしが森林生態系に与える影響の評価イノシシの採餌行動に伴う土壌の物理的撹乱(掘り起こし)の強度の勾配に沿って、林床植物、林床徘徊性昆虫、土壌動物、土壌微生物群集の応答を比較し、分類群間の応答の違いと撹乱強度との関係を明らかにする。さらに、関連する生態系機能への影響を調べ、イノシシの撹乱が森林生態系に及ぼす影響を統合的に理解する。蔡 一涵
東京大学先端研科学技術研究センター
2026.4.1~2027.3.31
4. 菅平高原における原生粘菌を中心とした粘菌類の多様性調査、ならびにツノホコリ属の稀種 Ceratiomyxa hemisphaerica に類似する菅平高原産標本の分類学的調査いまだ日本における多様性の解明が十分にされていない原生粘菌類を中心とし、菅平高原における原生粘菌類を中心とした粘菌類の多様性について調査する。また、菅平高原より採取された Ceratiomyxa hemisphaerica に類似する標本について、同一地点からの再採集・培養を試みて分類学的な検討を行う。岩本 祥明
日本変形菌研究会
2026.4.24~2026.4.25
5. 変形菌からのRNAレプリコン探索変形菌からは未報告の、RNAレプリコン(例:RNAウイルス)を探索し、その性状を明らかにする。浦山 俊一
筑波大学生命環境系
2026.5.1~2027.3.31
6. ドングリをテーマに自然番組を制作している。カケスの貯食行動を撮影するとともに、菅平実験林のミズナラ調査を取材し、ドングリが勢力を拡大するうえで重要な役割を果たしているとされるカケスとの関係を紐解き、映像化する。誰もが一度は手に取ったことのある、子どもに大人気のドングリ。おもちゃとして親しみ深い存在だが、植物としての生きざまはあまり知られていない。そこで番組では、ドングリの大きく堅い実につまった仕掛けや、動物との攻防、そしてカケスやキノコと手を組み勢力を拡大する戦略を紹介。日本各地の森を優占するほどの勢力をふるうドングリの秘密に迫る。そして生きものどうしが複雑に繋がりあう、ドングリが作る「日本の森」を描く。藤原 英史
(株)ドキュメンタリーチャンネル
2026.4.20~2026.4.24
7. マルハナバチ類の中長期的な花利用パターン:同一花種への固執性と複数花種利用の規則性マルハナバチ類が中長期的にどれだけ同じ種類の花に固執しつづけるのかや、複数種の花を利用する場合は、その組み合わせにどのような法則が存在するのかを探る。大橋 達貴
富山大学理学部
2026.7.13~2026.8.7
8. ホネタケ目菌類の多様性に関する研究ケラチン分解能を有すホネタケ目菌類の多様性に関して調査をする。また現在、ホネタケ目菌を研究課題としている大学院生の金谷一輝氏に、ホネタケ目菌の分離培養に関する技術の実地指導を行う。内山 茂
日本菌学会・理化学研究所
2026.4.14~2027.3.31
9. 菅平菌類相調査2033年の菅平実験所の100周年に向けてここから10年間の菌類相調査を継続し、現在までに記録されてきた菌類多様性のデータベース化を進めるとともに、毎月1〜2回程度の調査を続けて菌類の多様性解明に取り組む。野外調査に加え可能な範囲で、分離培養とバーコーディング領域の塩基配列決定、系統解析も実施していく予定。本調査は菅平菌学研究室および菅平ナチュラリストの会・菌類班のメンバーにて進めていくが、その他関係者の協力頂きながら、さらに特定の菌類の専門家を招き菌類の分類ワークショップも行う。これらの活動について、指導を受けながら、お手伝いをする。柴田 めいこ
変形菌研究会
2026.4.23~2027.3.31
10. 本州中部冷温帯の半自然草原をはじめとする植生の違いにともなう植物体地下部の純一次生産(BNPP)の変化細根の純一次生産(BNPP)は草原生態系および森林生態系の純一次生産の1/3以上占めるとされるが、定量化が難しいBNPPの知見は不足している。特に、植生の違いで土壌有機炭素量(SOC)は異なるものの、SOCに寄与するBNPPのターンオーバーについて不明点が多い。本研究は、植生の違いによるBNPPの変化パターンとメカニズム解明を目的とする。特に、優占種の違いによるBNPPの変化を定量化するとともに、それによる土壌圏の炭素動態の変化を考査する。西平 貴一
筑波大学大学院環境学学位プログラム
2026.4.13~2027.3.31
11. 両生類の卵に共生緑藻の系統分類学的研究及び生活環の解明両生類の卵に共生する緑藻の生活環を明らかにする成田 紗由美
筑波大学大学院生命地球科学研究群
2026.4.20
12. 雪上藻の探索・系統分類学的研究雪上藻を見つけ、培養する野本 梨恵
筑波大学大学院生命地球科学研究群
2026.4.20
13. カラマツ生育およびカラマツ林菌根群集の気候応答調査近年の気候温暖化により,冷涼な気候帯を原産とするカラマツ(Larix kaempferi)は,現在の生育適地においても,将来的に生育阻害を受ける可能性があると考えられる。一方で,気温上昇に伴い光合成が促進されることで,高温条件がカラマツの成長を促進する可能性もある。そこで本研究では,温暖な気候下で生育するカラマツが,どの季節の気温や降水量の影響を強く受けるのか,また気温上昇に対して生育がどのように応答するのかを検証する。そのため,日本のさまざまな緯度帯に植栽されたカラマツを対象に,これまでの成長履歴と内的水利用効率の気候応答を明らかにすることを目的とする。小林 敬子
京都大学大学院農学研究科森林科学専攻
2026.5.19~2027.3.31
14. 浅間山北麓を中心とした冷温帯林における複数分類群の調査浅間山北麓を中心に大型哺乳類、昆虫、植物、土壌動物、真菌類の種組成およびその変動を明らかにする。永井 千尋
筑波大学大学院山岳科学学位プログラム
2026.4.1~2027.3.31
15. 変形菌とトビムシの相互関係調査変形菌類胞子とトビムシ体表毛との微細形態の対応関係に着目し付着散布の成立条件の検証を目的とする。矢野 倫子
神奈川県立生命の星・地球博物館
2026.4.29~2027.3.31
16. 海洋生態系保全に向けた、地球温暖化で分布移動する魚類の集団ゲノミクス動態の解明地球温暖化による魚類への影響予測を最終目的として、カワアナゴ科魚類を対象に集団遺伝学、生物地理学、生態学、形態学および海洋物理学的研究を行い、過去から現在にかけての分布変遷、分散過程、遺伝構造および集団動態の歴史を解明する。山川 宇宙
筑波大学大学院生命環境科学研究科
2026.4.1~2027.3.31
17. 木本性つる植物と樹木の成長戦略の違いと気候に応じた変遷樹木に巻き付き、その特性から少ない幹への投資で林冠に多くの葉をつけ、樹木の成長を阻害しながら繁殖する木本性つる植物は、森林の炭素蓄積を減少させる存在であるとして、大気中の二酸化炭素を増加させる危険性があり、また木本性つる植物のバイオマスは近年増加しているという研究もあり環境問題の一つとなっている。こうした木本性つる植物に関する研究は熱帯林では多くあり、葉の形質、水分戦略などが樹木と比較され、どのように樹木に対してアドバンテージを取っているかということが解明されているが、現状熱帯林以外の亜熱帯、温帯、亜寒帯、寒帯林では研究の数が少なく、日本での分布などは研究がされているが葉の形質や戦略に関することはあまり調べられていない。当研究ではそれらを調べ、日本のそれぞれの気候において木本性つる植物がどのような戦略で森林で生育し、この先に訪れる気候変動に対してそれぞれの森林における木本性つる植物がどういった変化をする可能性があるのかということを考察する。坂上 悠馬
京都大学大学院農学研究科
2026.4.1~2027.3.31
18. ヤマアジサイおよびエゾアジサイの多様性菅平地域のヤマアジサイの調査辻谷 知春
明治大学農学部
2026.4.27
19. 菅平高原および近隣地域の変形菌類の多様性の調査菅平高原実験所構内および、近隣地域の変形菌の多様性解明調査を手掛け、変形菌の分類や生態の基礎について学ぶこと。岡田 幸大
筑波大学生物学類
2026.4.25~2027.3.31
20. カケスの種子散布によるアカマツーミズナラ林の遷移に関する研究
ードローン画像による植生解析法の確立ー
対象調査区域は、牧草地の草刈りをやめたことでアカマツ林として発達してきた場所である。その林内で、カケスの貯食行動によるものと推測されるミズナラの実生が育ち始め、中層に達し、現在では、アカマツの樹冠の隙間からミズナラの葉がのぞいて見える程度までに成長した(アニマ 140号 ミズナラ林を作るのは誰か?中村浩志 1984、筑波大学技術報告 No.43 菅平高原実験所アカマツ林A区におけるアカマツとミズナラの成長調査 山中史江 2026)。本年は、A区を中心にドローンを用いてアカマツ林を俯瞰撮影し、さらに歩行で樹種を確認することで正確で詳細な植生マップを作成。画像の特徴から遷移状態を定量するための植生解析法を確立すると共に、アカマツ林の現況を広域的に捉えることを目的とする。藤原 英史
(株)ドキュメンタリーチャンネル
2026.5.7~2027.3.31
21. 降積雪を中心とした気象測器の設置環境と測定値の関係に関するデータ収集と調査既存の気象観測に含まれる測定値に対する観測点周辺環境の影響を評価するための基礎資料の収集西森 基貴
(国研)農研機構農業環境研究部門
2026.4.1~2027.3.31
22. ゴキブリ目および網翅類の比較発生学的研究系統学的議論の定まらない生物群の系統進化学的理解において、各群のグラウンドプランの構築が可能な比較発生学的アプローチは、有効な方法の一つである。昆虫類のうち、その98%は新翅類というグループが占めているが、この新翅類の初期の爆発的放散に直接由来した多新翅類の一群であるゴキブリ類は、昆虫類を理解する上で鍵を握る重要なグループの一つである。以上から、ゴキブリ類内の全てのグループを対象とした包括的比較発生学的検証を行い、類内のグラウンドプランの構築と系統進化学的議論の発展を目的に研究を行う。藤田 麻里
筑波大学生命環境系(菅平高原実験所)
2026.4.1~2027.3.31
23. 昆虫(無脊椎動物)嗜好性線虫の分類と多様性
この目的のため、ハナバチ類、直翅目昆虫の手捕り採集、甲虫類の手捕り、丸太採集を行う。
昆虫(無脊椎動物)嗜好性線虫の分類と多様性、生態的関係を基礎研究として調査する。また、この過程で得られた特殊な生理、生態的特徴を持つ種類に関しては、モデル(研究材料)として、他の研究分野への応用を行う。神崎 菜摘
森林総合研究所関西支所
2026.5.1~2027.3.31
24. 山岳地域の訪問者の非意図的な種子導入に関わる要因グローバリゼーションによる人間活動の増加によって外来植物の侵入の規模や速度が拡大している。人間は移動性の向上と人口の増加により媒介者として高い能力を持ち、非意図的な導入の侵入経路は衣類や車両を介した導入など多岐にわたる。しかし外来植物は効果的な対策により防除が可能であり、最も費用対効果が高いとされる導入の未然防止が求められる。
 外来植物の種子の導入量の規定には、侵入プロセス(媒介者への侵入、輸送、脱落)の各段階で異なる要因の影響を受けることが明らかになっている。媒介者への侵入段階では訪問者への種子の付着の要因、輸送段階では除去行為の有無、脱落段階では除去されずに輸送された種子の量が関係する。侵入初期段階である付着から脱落の段階に着目した研究は、侵入後期にあたる定着から拡散の段階の研究より少ない。外来植物の侵入の未然防止には、経験的データを用いた侵入プロセスの実態の把握が必要である。
 本研究の目的は、外来種侵入防止に向けて効果的な保全を行うために、導入する種子の量を規定する上での重要な侵入プロセスを理解することである。
小林 千夏
東京農工大学農学府自然環境保全プログラム
2026.4.1~2027.3.31
25. さび病菌の採集調査生活環が未解明あるいは再検討が必要なサビキンについて、その解明を目的とする。山岡 裕一
筑波大学生命環境系
2026.4.1~2027.3.31
26. 菅平高原のエコツーリズム運営主体の認識差菅平高原のエコツーリズム運営主体の自然保護・観光利用の位置づけに関する認識差とマネジメントの構造を明らかにする。小林 和瑚
筑波大学大学院地球科学学位プログラム
2026.6.12~2027.3.31
27. 「まちなか自然博物館」の開催山岳科学センター菅平高原実験所は上田市との連携協定に基づき、中心市街地にある「まちなかキャンパスうえだ」を市内の大学と共同で運営している。本事業では同施設の利用率向上、商店街の活性化、地域の課題共有、ボランティアの育成を目的として、同施設にて自然博物館をテーマにした2日間のイベントを開催する。(令和8年度筑波大学社会貢献プロジェクト)山中 史江
筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所
2026.4.1~2027.3.31
28. 子嚢菌門ラブルベニア綱の分類・生活史・培養に関する研究本菌群の形態観察、分子系統解析、培養試行などを通じて、子嚢菌門ラブルベニア綱の多様化した要因を解明する田中 凌太
筑波大学理工情報生命学術院
2026.4.1~2027.3.31
29. 水生糸状菌類およびその類縁菌の探索水生糸状菌類およびその類縁菌の探索を目的に、園内で採集と分離を行う。細谷 剛
国立科学博物館植物研究部
2027.4.1~2027.3.31
30. 実験所構内の各植生ごとの蟻類の被度指数を測定し、蟻相のタイプを査定する(昨年の継続調査)。クシケアリの生態調査も行なう。日本各地の蟻相調査とクシケアリ類の比較生態調査・観察近藤 正樹
近藤蟻蜘蛛研究所
2026.6.23~2026.6.26
31. 膜翅目昆虫原始系統群における翅原基の後胚発生様式に関する比較発生学的研究(昆虫網:膜翅目:広腰亜目)昨年に引き続き、膜翅目昆虫の中でも最も原始的な系統群に位置付けられる「ヒラタハバチ科 Cephalcia sp.」をモデル材料とし、完全変態昆虫における翅原基形成様式の初期進化を明らかにすることを目的として、本種の翅原基の後胚発生様式を調査する。新津 修平
東京都立大学大学院理学研究科
2026.6.24
32. コオロギ下目の発生学的研究 (昆虫綱・直翅目・キリギリス亜目)昆虫類の約98%を構成する新翅類において、その初期の爆発的放散に直接由来する多新翅類は、新翅類ひいては昆虫の系統進化を理解するうえで重要なグループである。本研究では、多新翅類の一群である直翅目の系統進化学的議論の発展を目指し、その第一段階として、目内で基部系統とされるコオロギ下目の比較発生学的検討を行う。芝 寧々子
筑波大学大学院生物学学位プログラム
2026.4.1~2027.3.31
33. ケラを宿主とする昆虫寄生菌の研究昆虫寄生菌には、冬虫夏草類をはじめとして多様な分類群が知られており、その生態や宿主特異性について多くの研究が行われてきた。しかし、地下環境に生息する昆虫寄生菌については、土壌試料からミルワーム等を用いたベイト法によって検出される例が多く、自然環境下における発生状況や生活環については未解明な点が多い。
 ケラ類(直翅目ケラ科)は生活史の大部分を地下で過ごす昆虫であり、地下生昆虫寄生菌の研究対象として極めて重要な宿主群である。しかし、日本国内ではケラを宿主とする昆虫寄生菌としてケラタケが知られるのみであり、国外においても地上に子実体を形成しないケラ寄生菌を含め、その多様性や生態に関する知見は限られている。
 そこで本研究では、野外におけるケラ寄生菌の自然発生状況を調査するとともに、採集したケラ生体を過湿条件下で飼育し、昆虫寄生菌を発生させる手法を用いて、ケラに寄生する菌類の多様性を明らかにすることを目的とする。それによりこれまで十分に把握されてこなかった地下生昆虫寄生菌の実態、生活環および宿主利用様式の解明を目指す。
嶋﨑 拓
筑波大学大学院山岳科学学位プログラム
2026.6.1~2027.3.31
34. 熱処理法により検出される担子菌類基部系統の探索土壌から希釈平板法によって真菌類を分離する試みは、Warcup (1950)以降多くの菌学者によって行われてきた。なかでも、Warcupの熱処理法 (Warcup 1951; Warcup & Baker 1963)は希釈平板法の変法であり、土壌を加熱した後に寒天平板とすることで、熱により胞子発芽が誘導されるような菌群を選択的に分離できることが知られている。熱処理法で出現する菌群としては、子嚢胞子が高熱に耐えうるようなユーロチウム目菌類がよく知られているが、近年はSeifert et al. (2004)の提唱した熱処理法により、担子菌類の基部系統に位置付けられるような特異な菌群が検出されている (Nguyen et al. 2013; 2014; Witfeld et al. 2021)。熱処理により出現する担子菌類の基部系統については、一部が環境DNAメタバーティング法により全球的な分布を持つことが示唆されているが、本邦における分布については未だ詳細な知見はない。本研究は熱処理法により出現する担子菌類を単離し、分類学的な検討を通して本邦における基礎生物学的な知見の充足を目指すものである。中村 好文
筑波大学大学院生物学学位プログラム
2026.6.10~2027.3.31
35. 無脊椎動物寄生菌 (肉食菌類・冬虫夏草) の多様性と生活史の解明森林や草原などの土壌には,線虫やクマムシ,ワムシなど非常に多くの微小動物が生息しているが,土壌中にはそれらに寄生する微小菌類もまた多数存在しており,肉食菌類 Carnivorous fungi と総称される.一方,冬虫夏草は昆虫などに殺生的に寄生し,巨視的な子実体を発生させるボタンタケ目菌の総称である.興味深いことに,Harposporium 属やDrechmeria 属の菌類においては,有性世代が冬虫夏草として知られる一方,その無性世代が肉食菌類としても知られており,冬虫夏草と肉食菌類の二つの生き様は密接な関係にある.そこで,本研究ではこれらの菌類を「無脊椎動物寄生菌」として包括的に捉え,その多様性や生活史の解明に関する研究を行う.前田 創
筑波大学生物学類
2026.4.1~2027.3.31
36. 機動性DNAエレメントが担う樹木の高標高環境への適応の実態解明日本の高標高域に広く分布する亜高山帯樹木を対象に、緯度・経度・標高に時間軸を加えた四次元的な時空間スケールで、TE挿入多型の地理的分布を高精細ゲノム解析によって評価する。また、TE挿入多型と気温、降水量、風向などの気候や生育地形特性との関連解析を行い、環境適応に関与するTEを特定する。これにより、森林樹木の環境適応におけるTEの役割を解明することを目的とする。播本 泰知
筑波大学大学院生物学学位プログラム
2026.4.1~2027.3.31
37. 管理方式及び歴史性が異なる水田における植生の差異の解明人為的管理により維持されてきた半自然草原は、多くの希少種を有する保全優先度の高い生態系である。水田の畦畔もその一種であるが、耕作放棄や区画整備の進行に伴う生物多様性の低下が懸念される。半自然草原の継続年数(歴史性)が生物多様性に寄与することが知られているが、水田では土壌水分や養分、草刈り頻度などの環境・管理条件が多様であり、これらが歴史性と相互に作用して植生に影響すると考えられる。本研究では、多様な環境条件の中で歴史性の効果がどの条件下で強く現れるかを解明し、保全優先度の高い水田を特定することを目的とする。漆崎 壮太
筑波大学大学院山岳科学学位プログラム
2026.4.1~2027.3.31
38. 北アルプスにおけるニホンジカの集団形成史の検証本研究の目的は、北アルプスおよび周辺地域を対象に、現生~過去のシカDNA試料および堆積物環境DNAを用いた古代集団ゲノミクス解析により、侵入シカ集団の時空間的連続性、周辺地域からの移動分散、遺伝子流動、有効集団サイズ変動や環境選択などを検証し、その集団形成過程を明らかにする。熊瀬 卓己
筑波大学大学院農学学位プログラム
2026.4.1~2027.3.31
39. 長野県山岳域におけるニホンジカ被食植物の保全遺伝学的研究本研究の目的は、ニホンジカの食害を受ける植物3属5種(クガイソウ、オオバギボウシ、カントウマユミ、コマユミ、ツリバナ)の集団遺伝的解析を行い、地域固有性を明確にすることである。得られた結果をもとに保全優先度の高い地域集団のランク付けを行い、対象種の保全対策、食害対策を提案する。澤田 佳奈
筑波大学大学院山岳科学学位プログラム
2026.4.1~2027.3.31
40. ウラベニガサ属菌の生態に関する研究ウラベニガサ属は担子菌門ハラタケ目の1属で、腐朽木に発生するために図鑑などの記載では従来、白色腐朽菌のグループとして紹介されてきた。しかし、他の多くの腐生性の木材腐朽菌とは異なり培養が著しく困難である。同属菌の様々な培地での培養性状を調査することで培養法を確立するとともに、その真の分解に関する生態的特性の解明を目指す。佐々木 秀晃
筑波大学大学院生物学学位プログラム
2026.4.1~2027.3.31
41. 菅平における菌寄生菌トリモチカビ門の調査トリモチカビ門に属する菌類は、他の菌類への菌寄生性もしくは、線虫などの微小動物やアメーバなどの捕食性で、ごくわずかな例外を除き、いずれも他生物への絶対寄生性であることが知られる。そのため、培養が難しく、その多様性の全容の解明が遅れている。本研究では菅平高原を中心として各地の野外サンプルから菌寄生性のトリモチカビ門の菌類を採取し、二員培養ならびに単独培養株の確立を試み、形態的特徴と分子系統解析に基づいてその多様性を解明する。また、得られた培養株の対峙培養実験により、有性生殖の誘導を試み、接合胞子形成にも挑戦する。山﨑 陽登
筑波大学大学院生物学学位プログラム
2026.6.1~2027.3.31
42. 個体から集団レベルにわたる景観応答に着目したツキノワグマの野生動物管理に関する研究本研究課題では、GPS行動解析および景観遺伝学的解析から、個体~集団レベルにおけるツキノワグマ(以下、クマ)の景観への応答を評価することを目的とする。加えて、防護動機理論に基づくアンケート調査から、地域住民のクマに対する認知およびクマ対策実施時の阻害要因を評価する。これらの結果を統合し、地域社会の利害関係者に対し、野生動物管理に資する知見を提供することを目指す。松本 拓馬
筑波大学大学院農学学位プログラム
2026.4.1~2027.3.31
43. 節足動物の分泌タンパク質上に発生する菌類の分類学的及び生態学的検討クスサン Rinaca japonica の繭から発生する菌類として Cocoonihabitus sinensis が知られている。Cocoonihabitus 属が所属する科である Cocoonihabitaceae には1属1種のみが認められている。しかし日本ではクスサンや他のヤママユガ科の蛾の繭のみならず、ハチの繭、カマキリの卵鞘、クモの卵嚢などから Cocoonihabitus に類似した菌類が市民科学者らなどにより発見されているが、未だにその分類学的位置を研究した例はない。そこで本研究では日本に分布している Cocoonihabitus 類似種の分類学的検討を行ったのち、生態学的な検討を行うことを目的とする。遠藤 安晃
筑波大学大学院山岳科学学位プログラム
2026.4.1~2027.3.31
44. ケラチン分解性微小菌として古くから知られるホネタケ目(Onygenales)菌の分布調査子嚢菌門のホネタケ目(Onygenales)の菌類は、動物の生産する難分解性基質ケラチンを分解する能力を持つことが古くから知られ、医真菌学分野での調査が進められてきた。しかし、自然界でのホネタケ目菌の分布や多様性、生態については、十分なことがまだ判明していない。そこで本研究ではケラチン基質をもたらすヒトを含む動物類とケラチン分解能を持つホネタケ目菌の分布の関連性を調査することを目的とする。金谷 一輝
筑波大学大学院山岳科学学位プログラム
2026.4.1~2027.3.31
45. 日本産 Chaetocalathus 属キノコの系統分類本邦における Chaetocalathus 属キノコの種多様性を解明すること。黒﨑 裕貴
筑波大学大学院生物学学位プログラム
2026.7.1
46. 黒色酵母の分生子形成様式の多様性理化学研究所の橋本陽先生を講師としてお迎えし「黒色酵母の分生子形成様式の多様性」をテーマとしたワークショップ。黒色酵母は都市のコンクリートブロックなどの身近な環境から植物の葉上など、多様な環境に生息しているメラニン化した暗色の菌体をもち、酵母状にも増殖する菌類の総称である。今回は、黒色酵母の観察において重要なポイントとなる分生子形成様式や菌糸成長に絞って講習を行う。出川 洋介
筑波大学生命環境系(菅平高原実験所)
2026.6.19~2026.6.21
47. 化粧品・食品開発を目的とした酵母・乳酸菌株の収集化粧品・食品開発を目的とした酵母・乳酸菌株の収集を行うための分離源を採集する。栗原 祐子
オーピーバイオファクトリー株式会社
2026.6.19
48. ショウジョウバエに寄生するラブルベニアの分類学的再検討および宿主との相互作用メカニズムの解明申請者らの研究対象であるラブルベニア綱菌は幅広い昆虫種に寄生することが知られているが、本グループの生態や分類はいまだ全体像の解明には程遠い。そこで日本において比較的安定して採集が可能なオウトウショウジョウバエDrosophila suzukiiに寄生するStigmatomices属ラブルベニアをモデルとして相互作用系の解明を目指す。一方、サンプルの採集は容易ではなく、筑波キャンパス内での寄生率は低い。そこで、以前実施したサンプリングにおいて高い寄生率を確認した菅平高原実験所構内において、主にオウトウショウジョウバエを目的としたサンプリングを行いたい。川村 康平
筑波大学大学院生物学学位プログラム
2026.7.1~2026.7.4
49. 半自然草原生植物の被食防御様式半自然草原生植物の被食防御、特に化学的防御において、葉内に集積している元素組成を明らかにする。小沢 真里奈
東京農業大学地域環境科学部
2026.8.31~2026.9.3
50. マルハナバチ類の花粉栄養選好性の研究近年、世界中で被子植物とその繁殖を担う訪花昆虫(以下、送粉者)の多様性が同時に減少していることが問題となっている。草原再生において、送粉者の低い多様性は、野生植物の回復を遅らせる要因となっていることが申請者の研究から明らかとなってきた。特に、マルハナバチ類に花粉媒介を頼っている植物種の再生が遅いことが明らかとなっており、草原再生においてマルハナバチ類の回復・導入が重要であることが示唆されている。
 本申請研究は、草原再生に重要な役割を担うマルハナバチ類について、餌資源として利用している被子植物との関係解明を目的とする。具体的には、「マルハナバチ類は花蜜栄養(蜜量・糖度・糖組成)・花粉栄養(タンパク質・脂質)への選好性があり、それは種間で異なる」という仮説を立て、これを検証する。
平山 楽
筑波大学生命環境系
2026.7.13~2026.9.20
51. 花の持つ視覚シグナルの中で、花粉の色が持つ機能形質を理解する。花は送粉者への視覚シグナルとして多様な色を進化させている。特に花弁における色や模様が送粉者の誘因や誘因後の行動に影響することが示されている。一方で、花粉や雄蕊にも色がある植物は多い物のその機能性に関する研究は不足している。花粉の持つ視覚シグナルが送粉者の誘因や行動に影響するのであれば、花弁の色や模様・構造と同様の進化的圧力を受けていることが期待される。本研究では花粉が持つ視覚シグナルを花弁の色や構造との対応関係を評価しながら機能的特徴を浮き彫りにすることを目的としている。西森 基真
名城大学農学部
2026.8.3~2026.8.5
52. 環境DNA技術を用いた河川棲水生昆虫の洪水への適応能力の評価河川氾濫は水生昆虫群集に甚大な影響を与えると考えられるが、日本列島の河川生態系が氾濫に対して耐性(レジスタンス)と回復力(レジリエンス)のどちらが重要であるかは未解明である。従来の現地調査は危険で困難だが、環境DNAは採水のみで生物相を評価できる革新的手法である。本研究では、氾濫前後および氾濫中の採水調査を通じて、生物多様性と遺伝的多様性の変化を定量化し、河川管理に資する科学的基盤を構築する。松永 寛之
筑波大学生命環境系
2026.8.3~2027.3.31
53. ユーアンテナリア科ススカビ (Euanatennariaceous sooty moulds) の採取並びに系統分類学的研究実験所内ならびに近くの菅平自然館のシラビソ (Abies veitchii) 上に生息する、主としてユーアンテナリア属 (Euantennaria) ススカビを採取し、分離・培養を試みる。もしも分離・培養に成功すれば、その培養株について分子系統分類学的研究を展開する。杉山 純多
東京大学(名誉教授)
2026.9.30~2026.10.2
54. 菅平高原実験所内の黒色菌相の解明アキカラマツに寄生するクロボキン門 Urocystis sorosporioides および、アズキナシ枯死枝上の Capnodiales ならびにその他の黒色酵母菌の多様性調査のため橋本 陽
理化学研究所バイオリソース研究センター
55. (実習)地域環境学野外実習地域環境の調査や分析に必要な方法や技術、および見方・考え方をフィールドワークの実施により学ぶ。また、フィールドワークにおける調査・研究のまとめ方や発表の仕方、および議論の仕方を学ぶ。高木 悦郎
東京都立大学都市環境学部
2026.9.14~2026.9.17
56. 植物の地上部地下部形質と生態系サービスの関係解析本研究テーマのために、植物の形質調査を実施するHUANG MINGQIANG
京都大学農学研究科
2026.8.31~2026.12.31
57. 節足動物腸内生菌類の微細構造の解明節足動物腸内生菌類である Orphella coronata の微細構造を明らかにする。李 知彦
京都大学生命科学研究科
2026.10.15~2026.10.17
58. 高原地域の室内環境における好稠性カビおよび柿渋の微生物相の調査,ならびに周辺真菌相の観察1.大明神寮の室内環境における好稠性カビの分布を調査し,長野県大町市で得られた結果と比較することで,高原地域における室内微生物相の特徴を検討する.また,大明神寮の木材に使用されている柿渋から微生物を分離・培養し,その微生物相を調査する.
2.菅平高原周辺に生育するきのこ類をはじめとする真菌相の観察を行い,地域における真菌多様性に関する知見を深める.また,2024年に仕掛けたマツカサタケ実験区の現状を確認し,マツカサタケの基質特異性について検証する.
林 智絵
放送大学「菌類ゼミ」有志によるきのこ観察会
2026.10.9~2026.10.11
59. 自動録音を用いたコウモリ群集の広域比較の試みコウモリは、飛翔昆虫の捕食に加え、種子散布や花粉媒介を通して森林の維持・更新にも関わるなど、生態系の維持に重要な役割を担っている。そのため、コウモリの保全は、単一の野生動物種を守るだけでなく、生態系全体の維持という観点からも重要である。
近年、自動録音装置を用いた音響分析技術の発展により、コウモリ群集を効率的かつ広域的に調査することが可能となった。一方で、日本においては森林構造や森林タイプとコウモリ群集との関係を調査した研究はあるものの、都市部から山間部までの広域にわたる景観の違いや、地域内の細かな環境スケールがコウモリ群集に及ぼす影響を比較した研究は限られている。本研究では、自動録音による広域モニタリングの利点を活かし、多様な景観におけるコウモリ群集の特徴を明らかにするとともに、季節変化や都市化の影響についても評価することを目的とする。
矢野 結万
筑波大学生物資源学類
2026.9.16~2026.10.30
60. ミネトワダカワゲラの中腸上皮形成昆虫類の大半を占める新翅類の中腸(上皮)は、前腸・後腸端部に形成される中腸上皮原基が前後へ伸長することで形成される。この形成様式を二極形成と称する。しかし、カワゲラ目の中腸上皮形成には前腸が関与せず、後腸末端部の中腸上皮原基のみにより中腸上皮が形成されるという一極形成による形成様式が報告されている。このような他の新翅類に例のないカワゲラ目の中腸上皮形成を再検討するため、研究グループでは、菅平高原実験所構内に多産するミネトワダカワゲラを用いて研究を行う。武藤 将道
名城大学農学部
2026.10.1~2027.3.31
61. 六脚類の頭部内骨格の進化的変遷昆虫はそのコンパクトな頭部に刺激受容と情報統合、摂食という生存に不可欠な複数の機能を同時に備える優れたボディプランをもち、これらの機能を洗練させることによりあらゆる環境に適応、多様化してきた。有翅昆虫の頭部内にみられる「幕状骨」は、外胚葉性陥入の融合により形成される幕状の強固な骨組みで、複眼や脳を格納する大きな頭蓋の土台であるとともに、筋肉の付着点として大顎・小顎の運動機能を支えている。本研究は、発生過程、特に昆虫頭部内骨格の脱皮時の形態変化に着目することにより、幕状骨をはじめとする頭部内骨格に起きてきた段階的イノベーションと、昆虫類の進化的成功との関連を明らかにする。福井 眞生子
愛媛大学
大学院理工学研究科
2026.4.1~2027.3.31
62. 菅平高原実験所構内の植物病原菌の多様性の解明菅平高原実験所構内に生息する様々な植物を宿主とする植物病原菌の多様性を解明する。佐藤 豊三
筑波大学
2026.10.8~2027.3.31
63. インドにおける人とゾウの軋轢軽減に向けた行動生態学及び保全ゲノミクスの統合的研究世界有数の生物多様性ホットスポットであるインド・西ガーツ山脈においては広域を自由に移動するアジアゾウ(以下、ゾウ)の雄を主体とした集団による農林業被害が深刻な問題となっている。本研究ではこれらゾウ集団の行動および生態を解明することで、ヒトとゾウの長期的な共存に向けた「ヒトとゾウの軋轢」の緩和を目指す。具体的には、1) 写真を用いた「捕獲・再捕獲法」により、森林と農地が混在する環境下で広域を移動するゾウ集団の分布の空間的・季節的パターン、集団動態パラメーター、および定着性の評価、2)糞DNAを用いた集団ゲノミクス解析および野外観察による、獣害を引き起こすゾウの個体数、性比、遺伝的構造、および遺伝子流動の評価、3) 糞を用いたDNAメタバーコーディング解析により獣害を引き起こすゾウの食性の調査およびその自然生息地および農地での比較、を目的とするとともにこれら項目について明らかにする。NADUKKALATHIL RAVI ANOOP
筑波大学生命環境系(菅平高原実験所)
2026.9.29~2027.3.31
64. 360度カメラ画像およびハンディ型レーザースキャナーの点群データを用いた樹種自動判別AIモデルの開発立木調査は現在も輪尺や測高器を使った人手による計測が中心で、現場の大きな負担になっています。当社では、360度カメラやハンディ型レーザースキャナーを持って林内を歩くだけで、胸高直径・樹高・樹種などを取得・管理できる仕組みの開発に取り組んでいます。胸高直径や樹高は点群からの算出を進めていますが、樹種は今も現場で人が目で見て判断しています。
 本研究では、樹種が分かっている樹木の画像と点群を取得し、樹皮の模様や幹・枝の形状から樹種を判別するAIモデルの学習・精度検証用のデータを整備することを目的とします。
奥田 哲也
株式会社ASOLAB.
2026.11.10~2026.11.13