菅平高原の成り立ち
菅平高原は本州中央部に位置し、東側の浅間山山麓、高峰高原、北側の志賀高原などとともに上信越高原国立公園に含まれています。中心部の標高は約 1,250m で、南北約 7km 東西約 10km のたいへん広い高原です。
菅平の地形は根子岳(2,207m)、四阿山(2,354m)の南西向き斜面に広がる高原状の地域と西側の大松山北東斜面、その間に広がる盆地状の湿原の地域からなっています。盆地は噴火によって川がせき止められて生じた湖が陸化したもので、中央部に菅平湿原と呼ばれる湿原があります。根子岳・四阿山の斜面は大明神沢、中ノ沢などの沢によって深く刻まれています。これらの地形は約200 万年前に第3紀の岩層を破って噴火した四阿火山によってつくられたものです。緩傾斜地域には火山灰が火山岩の上に厚く堆積しています。この火山灰の層に植物の腐食が加わってできた黒ボク土の上で高原野菜の栽培が行われています。
むかし、菅平に人が住みつく以前は、この地は夏緑広葉樹であるブナの深い森に覆われていたと考えられています。その後、ブナの原生林は伐採や山火事などで失われ、現在はアカマツ、シラカンバ、ダケカンバの林となっている場所が多く見られます。また、これらの林を伐採したところにはススキの草原が広がっています。スキー場や牧場で見られるシバ草原はススキ草原に家畜を放牧したために出来たものです。しかし、このシバ草原も放牧をやめるとススキ草原にもどり、ススキ草原は放置するとアカマツ林やシラカンバ林に変わってしまいます。湿原以外の平らな場所はレタス、キャベツ、ハクサイの畑やグラウンドとなっています。急な斜面や標高の高い場所はスキー場として利用されています。その他は牧場やカラマツの植林地となっています。
センターの気象
当実験所の観測による平年気温(1981 年から 2010 年)は摂氏 6.6度で、北海道のオホーツク海沿岸地域に近いものですが、気候は昼夜の温度差の大きい内陸型のものです。 冬は寒さが厳しく、2月の平均気温は摂氏マイナス 5.5 度になります。毎年 12 月から 3 月まで日中でも氷点下という真冬日が続きます。 雪は11 月下旬頃から降り始めて 4月上旬頃まで続きますが、降雪日数の多いわりには降水量は少なく、乾いた雪が降ります。 一番寒いときには摂氏マイナス29 度を記録したこともあります。8 月の平均気温は摂氏19.4 度で、夏でも涼しく乾燥した日が多く、日最高気温が摂氏25 度を越える日はあまりありません。 年降水量(平年値)は 1,342.9mm で、国内では雨の少ない土地といえるでしょう。
筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所の位置と気象
北緯 | 36°31′25″ |
東経 | 138°20′50″ |
標高 | 1,315m |
年平均気温(平年値) | 6.6℃ |
8月の平均気温(平年値) | 19.4℃ |
2月の平均気温(平年値) | -5.5℃ |
暖かさの指数 | 56.9 |
寒さの指数 | 38.0 |
年降水量(平年値) | 1,342.9mm |
最大積雪深(平年値) | 106.7cm |
根雪日数(平年値) | 113日間 |
年平均日射量 | 4,835.74MJ/㎡/年 |