「里山管理実習」をレポート!

7月5日から4日間、山岳科学センター筑波実験林を中心に「里山管理実習」が行われました。

1日目
実習ガイダンス、安全講習を終えてから外へ。
まず、調整池の9か所で水質調査を行いました。

調整池の水面下にはスイレンの根がびっしり広がっています。浅い箇所にも見えないところに落とし穴(根のない箇所)があるので、すぐそばでも深さの全く違う箇所があり、注意が必要です。指導教員たちも後ろで見守ります。
溶存酸素量の計測と採水の後は、足元をとられないよう注意を払いながら長柄のカマでスイレンを刈ります。

その後、実習室で水質を計測。pH、EC計、透視度計を使用します。


調整池の水性外来生物を捕獲するためトラップを設置しています。
エサは解凍したアメリカザリガニ。臭いで誘引します。

池の周り6箇所にエサを仕掛けたトラップを設置しますが、ここのところ雨が少なかったので調整池の水位がとても低く、トラップを沈めるのも一苦労でした。

2日目

車で学内の管理区域へ移動し、別の池の調査を行います。普段は施錠され立ち入ることができない池ですが、調査のため特別に鍵を開けていただき、淡水カメを捕らえるためのトラップを5か所に設置します。エサはドッグフードを使用します。カメの食性がわからなくなるので、ザリガニは使いません。
 

前日調整池に沈めていたトラップを回収し、水生生物の同定、計測を行います。

今回はアメリカザリガニ、ウシガエル、ドジョウがかかりました。在来の生物は、計測後池に戻します。ザリガニは雌雄と数、重さ、頭胸甲長を確認後、次回調査のためのエサとして役立ってもらいます。

 
午後はクヌギ・コナラ林の枝打ち、下刈りを行いました。

スイレン刈りでも使用した長柄のカマを使います。要領を得てくると力を使わずに手早く下刈りができます。山や森は広範囲なので、少ないエネルギーで広く刈れる技術は必須です。

あっという間に区画内の下刈りがすすみ、腰の高さまであった雑草がすっかり刈り払われました。

きれいに下刈りをした後は、区画内の木の毎木調査です。1本1本に番号を付け、胸高直径と樹高を測っていきます。

3日目

前日に仕掛けたカメ用のトラップを回収し、カメ類の同定・外部計測をしました 。

次は1日目と同じように調整池の水を採り、水質の調査を行いました。
スイレンを除去する前と後で水質がどのように変化するのかを調べます。

午後は外へ移動、次は竹を切り運びます。さて、何のために竹を切っているのでしょうか。

答えは 、、釣り竿です!

前日捕獲したザリガニをエサに『外来生物の駆除』を行います。今回はブルーギル、アメリカザリガニを釣り上げました。もちろんこれらの釣果も計測、記録します。(今回は実習の一環として駆除目的の釣りを実施しましたが、筑波実験林内での釣り及び動植物の採集は禁止で。)

4日目
大学を離れ、近くの田んぼで水生昆虫の調査を行いました。(許可を得て調査を行っています。)

用水路には淡水エビ、アメリカザリガニが多く確認され、田んぼの中にはコガムシ、ヌマガエルの他、カワニナも見られました。カワニナはホタルのエサです。

実習室に戻り、見つけた生物の同定調査、記録をし、これで野外での実習は終了です。
昨年に続きコロナ禍の対面実習でしたが、安全対策を講じ、無事実習を終えることができました。