開催報告|公開講座 菌類相調査入門編 ―自然界のキノコ・カビの多様性を調べよう― 

2024年6月1日および2日、菅平高原実験所にて、令和6年度筑波大学公開講座「菌類相調査入門編 ―自然界のキノコ・カビの多様性を調べよう―」を開催しました。菅平高原実験所の出川洋介(生命環境系 准教授)が講師を務め、1日目はZoomによるオンライン講義、2日目は菅平高原実験所での実習形式としました。

1日目のオンライン講義には33名が参加し、菌類についての基礎的な講義が行われました。終了がちょうど予定時間となったため十分な質疑応答時間は確保できませんでしたが、翌日に直接質問してもらうということでこの日を終えました。

2日目の現地実習には32名が参加しました。まず、出川から菅平高原実験所の概要説明と、実技指導員の清原広海さん(生物学学位プログラム 前期2年)と田中凌太さん(教育学学位プログラム 前期2年)、サポートスタッフとして当施設ボランティア「ナチュラリスト」の松崎務さん、杉村明道さん、塩沢律子さんの紹介がありました。そして、午前中のプログラムであるフィールド観察と採集のために樹木園へ出発しました。

この日はあいにくの雨となりましたが、受講生は各自雨具を持参しており、予定通り実施することができました。入口付近で出川からキノコの採集方法の説明があり、その後は適宜解説を挟みながら、それぞれがキノコを探し採集しました。ルーペでキノコをよく観察したり、根元から慎重に採集したり、這いつくばって写真を撮影したりなど、受講生は悪天候を感じさせない熱意で参加していました。

午後は室内で顕微鏡観察を行いました。全員に実体顕微鏡と光学顕微鏡を1台ずつ用意し、出川が使い方を説明しました。実体顕微鏡では採集したものを自由に観察し、受講生はみな楽しそうにしていました。そして、今回の講座は入門編ということで目標を担子菌の担子器観察とし、各自がプレパラートを作成して光学顕微鏡での観察に挑戦しました。このような作業が初めての方も、実技指導員らのサポートを受けつつ取り組んでいました。受講生には高校生も数人いて、出川が一人ひとりの質問に丁寧に答えていました。

今回の受講生には高校生、社会人、年配の方、さらには菌類の専門家と非常に多様な方々が集まり、フィールドでも室内でも受講生全員が真剣な表情で、しかも楽しそうに課題に取り組んでいるようすが印象的でした。終了後も出川に質問する人の列ができ、これを機に菌類についてもっと勉強したいといった声も聞かれました。

菅平高原実験所では、今回のよかった点と反省点とをふまえて今後もイベントを企画していくことにしています。

樹木園での観察、採集
樹木園での観察、採集
担子菌を中心に採集
担子菌を中心に採集
雨のなかでも熱心な受講生たち
雨のなかでも熱心な受講生たち
歓声があがったスジオチバタケ
歓声があがったスジオチバタケ
午前のプログラムを終えて建物へ戻る
午前のプログラムを終えて建物へ戻る
午後は室内で顕微鏡観察(右端 出川洋介准教授)
午後は室内で顕微鏡観察(右端 出川洋介准教授)
各自に実体顕微鏡と光学顕微鏡を配置
各自に実体顕微鏡と光学顕微鏡を配置
受講生はみな真剣に観察していた
受講生はみな真剣に観察していた
出川も一緒に盛り上がる場面も
出川も一緒に盛り上がる場面も
高校生に解説する出川と、集まる受講生
高校生に解説する出川と、集まる受講生(画像を一部加工しています)