開催報告|第9回菅平湿原シンポジウム なぜ大切?地域の自然、地域の博物館

2024年11月15日、長野県上田市の菅平高原自然館にて、第9回菅平湿原シンポジウム「なぜ大切?地域の自然、地域の博物館」が開催されました。菅平水土里(みどり)会主催、筑波大学山岳科学センター共催。

まず、地元にお住まいで菅平高原自然館の管理人を務める佐藤満留さんから、同館の歴史についてのお話がありました。佐藤さんからは菅平高原の古い資料をもとに、その成り立ちや、同館が設立されるに至った経緯を詳しくご紹介いただきました。

佐藤満留さんのご講演
佐藤満留さんのご講演

次に、菅平高原実験所の田中健太(生命環境系 准教授)が、「地域の自然の価値:住民にとって、人類にとって」というテーマで講演しました。田中は、この日シンポジウム前に行われた菅平湿原での外来種駆除活動をふまえ、生物多様性の価値や、地域ごとに異なる生物が存在することの重要性を説明しました。また、菅平湿原については、希少植物が多く見られるものの湿原内を流れる川が直線化したことで乾燥が進んでおり、なるべく湿原環境を維持するためには今後国や地元での調整が行われることが望ましいとの言及もありました。

田中健太准教授
田中健太准教授

そして最後に、菅平高原実験所の出川洋介(生命環境系 准教授)が、「菅平に自然館がある意味」について講演しました。自然系博物館での出会いが子供の将来に影響を与える可能性があるとし、海外の事例も交え、地域の博物館が人々の生活を豊かにして心のよりどころとなることを説明しました。また、博物館には4つの役割「資料収集・保存」「調査研究」「展示」「教育普及」があり、学芸員の重要性を伝えたうえで、菅平高原自然館の課題と今後の活用方法についても触れました。

出川洋介准教授
出川洋介准教授

この日は地元や上田市近隣から約20人が参加しました。質疑応答時間も設けられ、参加者からは講演内容に関する質問や、菅平高原自然館についての意見など、たくさんの声が寄せられました。 講演のようすは上田ケーブルビジョンが撮影し、後日放送される予定です。

各講演後には質疑応答が設けられた
各講演後には質疑応答が設けられた