田中凌太さんが日本菌学会第69回大会で優秀発表賞を受賞
去る2025年5月17日・18日に千葉大学西千葉キャンパスにて開催されました日本菌学会第69回大会において、生物学学位プログラム博士後期課程1年(菅平高原実験所菌学研究室所属)の田中凌太さんが優秀発表賞を受賞しました。
田中さんは「動物死骸基質から得られたラブルベニア綱 Pyxidiophora 属菌の分類と培養株の確立」というタイトルで、昆虫の体表に寄生して生活し、著しい多様化を果たしたラブルべニアという菌類の起源をさぐる上で鍵を握る非常に重要な菌群の未記載種について報告しました。
この菌は動物の体表に胞子を付着させて分散するのですが、他方、ほかのカビに寄生をして菌寄生菌としても生活しています。田中さんは、フザリウム属の菌を宿主として、この菌の二員培養を確立し、さらに、培地上で子嚢果や子嚢胞子を形成させることにも成功しました。この菌群において、今まで培養下で安定して胞子形成をする菌株はありませんでした。
今回の快挙により、今後、形態形成過程や動物体表への付着メカニズムの解明、ゲノムの決定など様々な展開が可能になり、今後の研究の進展が大いに期待されます。
諸事情でご報告が遅れてしまいましたことをお詫びいたします。
(文・出川洋介)

