森林水文・砂防学実習だより

2024年7月22日(月)~26日(金)、主に筑波実験林および静岡市井川地区、安倍川流域で森林水文・砂防学実習(学部生対象)が行われました。 この実習は全国の学部生を対象とした公開実習を兼ねており、今年は筑波大学からの3名に加えて東京海洋大学から1名が参加しました。その他TA、砂防分野の大学院生が同行しました。

この実習の目的は、森林流域での水・土砂流出の調査法を習得し、実際に計測されたデータを題材にして、森林の水環境や、山地での土砂移動プロセスを理解して流域環境のあり方や管理の課題について考察することです。

初日と最終日はつくば地区で土砂流の水路実験および土層調査、2日目から4日目は静岡市に移動し、地形・地質の調査、複数の山地河川にて水文観測(流量・水質)、安倍川流域で大規模崩壊地や流域内の土砂移動状況を見学しました。今回主に筑波実験林、静岡市での実習の様子を密着レポートします。

1日目 7/22(月) 建設技術研究所での土砂流の水路実験後、筑波実験林に移動し、土層調査。

筑波実験林実習室で、山のでき方、地質によって異なる崩壊密度、地域別地質外観、地質の計測方法、実習地井川湖周辺の地質について先生から説明があった。
筑波実験林実習室で、山のでき方、地質によって異なる崩壊密度、地域別地質外観、地質の計測方法、実習地井川湖周辺の地質について先生から説明があった。
土層調査。(雨水挙動の観測)圧力ポテンシャルの計測。
土層調査。(雨水挙動の観測)圧力ポテンシャルの計測。
受講生も挑戦。
受講生も挑戦。
テンシオメーター設置。地表面の浸透能を測る。
テンシオメーター設置。地表面の浸透能を測る。

2日目 7/23(火) つくばから静岡市井川地区へ移動。

井川湖。この日は天候に恵まれ、湖面が美しい花緑青色に。
井川湖。この日は天候に恵まれ、湖面が美しい花緑青色に。
リバウェルスキー場。ここで井川湖周辺の地形の成り立ちについて先生による説明があった。
リバウェルスキー場。ここで井川湖周辺の地形の成り立ちについて先生による説明があった。
(林道勘行峰線沿いで)石をたたこう!岩石を叩き割って、名称、特徴を調べる。
(林道勘行峰線沿いで)石をたたこう!岩石を叩き割って、名称、特徴を調べる。
地形・地質調査(大起伏山地)
地形・地質調査(大起伏山地)
地形・地質調査(大起伏山地)
地形・地質調査(大起伏山地)
山地稜線部に沿って
山地稜線部に沿って
地質や地形を体感する。
地質や地形を体感する。
五色ガレ。崩壊地。緑色や赤色、風化した茶色の岩石が目立つ。
五色ガレ。崩壊地。緑色や赤色、風化した茶色の岩石が目立つ。
宿泊施設、井川自然の家での講義。
宿泊施設、井川自然の家での講義。
河川水文観測、流量、水質等の説明、および線状凹地を含む地滑り地の地下構造の推定等の説明。
河川水文観測、流量、水質等の説明、および線状凹地を含む地滑り地の地下構造の推定等の説明。
翌日の観測に使うクリノメーター(地層を計測する器具)の説明
翌日の観測に使うクリノメーター(地層を計測する器具)の説明

3日目 7/24(水) 複数(3箇所)の山地河川にて水文観測 (流量・水質)

(穴沢地区) 川幅を測る。
(穴沢地区) 川幅を測る。
水深を測る。
水深を測る。
EC計で電気伝導率を測る。
EC計で電気伝導率を測る。
岩石の調査。石を割ってどんな鉱物でできているか調べる。
岩石の調査。石を割ってどんな鉱物でできているか調べる。
クリノメーターで
クリノメーターで
地層の走行・傾斜を観測する。
地層の走行・傾斜を観測する。
地質を観察する。
地質を観察する。
(所沢地区) 川幅を測る。
(所沢地区) 川幅を測る。
水深を測る。
水深を測る。
地質・走行・傾斜を観測。
地質・走行・傾斜を観測。
地質・走行・傾斜を観測。
地質・走行・傾斜を観測。
お昼は井川演習林事務所にて。美味しいお弁当でエネルギーチャージ。
お昼は井川演習林事務所にて。美味しいお弁当でエネルギーチャージ。
(大島沢地区)川幅・水深を測る。
(大島沢地区)川幅・水深を測る。
(大島沢地区)川幅・水深を測る。
(大島沢地区)川幅・水深を測る。
地質観察。
地質観察。
夜はバーベキュー。
夜はバーベキュー。

4日目 7/25(木) 静岡市安倍川流域で大谷崩れや土砂移動状況を観察。

国土交通省・静岡河川事務所の方により、大谷崩れ(大規模崩壊地)流域内の土砂移動状況を詳細に説明される。
国土交通省・静岡河川事務所の方により、大谷崩れ(大規模崩壊地)流域内の土砂移動状況を詳細に説明される。
大谷崩れ。面積1.8㎢、高度差800m、これまでに崩れた土砂量、約1億2000万㎥、日本三大崩れの1つに数えられる。日々少しずつ崩れ、変化しているそう。
大谷崩れ。面積1.8㎢、高度差800m、これまでに崩れた土砂量、約1億2000万㎥、日本三大崩れの1つに数えられる。日々少しずつ崩れ、変化しているそう。
受講生、砂防分野の大学院生の皆さんは積極的に国土交通省の方に質問していた。
受講生、砂防分野の大学院生の皆さんは積極的に国土交通省の方に質問していた。
安倍川流域の大河内砂防堰堤から土砂移動状況を見学。
安倍川流域の大河内砂防堰堤から土砂移動状況を見学。
大谷崩れの前で記念撮影。
大谷崩れの前で記念撮影。
安倍川河口の左岸に広がる清水海岸で。静岡での実習終了。
安倍川河口の左岸に広がる清水海岸で。静岡での実習終了。

5日目 7/26(金) 筑波キャンパスで、1日目の土層調査の続きおよび全体のまとめを行った。

天候に恵まれ、快適な環境の中で実習が行われました。 今回の実習には、学外からも参加してくださり、とても熱心な態度で取り組まれていました。 学内生も含めて受講生から先生や大学院生に積極的に質問する等、全体として大変活気のある実習となりました。