先んずれば花色を制す – 「先客」を確保した地味な花は派手な花にも負けずハチを惹きつける –

川口利奈 京都大学工学研究科講師、大橋一晴 筑波大学講師、徳永幸彦 同准教授、小沼明弘 農業環境技術研究所 主任研究員(研究当時) らの共同研究チームは、ハチを誘引しやすい派手な見た目を持たない花でも、ライバルの派手な花に先んじて訪問者を確保することで、後からその「先客」につられて花を訪れるハチを増やし、見た目の不利さを覆してより多くの訪問者を得るチャンスがあることを実証しました。

慣れない土地で良い食堂を探す人間のように、ハチは店構え (見た目) だけを頼りに新しい花を探すのではなく、他の個体がどこでどのような花を訪れているかを手がかりにしていることが知られています。本研究では、網室内で蜜を得られる新しい花を探すマルハナバチに、色の異なる2つの人工花のパッチを提示し、どちらを最終的な採餌先に選ぶかを調べました。その結果、どちらのパッチにも先客がいない場合には、一方の花色が約9割の試行で選ばれるという強い色の好みが確認されました。しかし、もともと人気の低い色のパッチに先客がいると、その花は人気の色と同程度、あるいはそれ以上の割合で最終的な採餌先として選ばれるようになりました。つまり、花は常に派手な見た目で優位に立つ必要はないわけです。以上の発見は、花の誘引戦略が見た目の派手さだけでなく、先客を得るための開花タイミングにも及ぶ可能性があるという、これまで見過ごされてきた視点を提供する重要な知見です。

本研究成果は、2026年2月19日に国際学術誌「Functional Ecology」にオンライン掲載されました。

【論文詳細】
タイトル:Bandwagon effects in a floral market: early pollinator acquisition offsets colour disadvantages in less attractive flowers (花市場における行列効果:早期の送紛者確保が花色の不利を相殺する)
著者:Lina G. Kawaguchi, Kazuharu Ohashi, Akihiro Konuma, and Yukihiko Toquenaga
掲載誌:Functional Ecology    DOI:10.1111/1365-2435.70259