多様性生態学実習/山岳森林生態学実習だより

2024年9月24日(火)から9月28日(土)にかけて、菅平高原実験所において、学部生向けの「多様性生態学実習」と大学院生向けの「山岳森林生態学実習」が併行開催されました。これらの実習は全国の学部生・大学院生を対象とした公開実習を兼ねており、4大学・24名の受講生が参加しました。

この実習では、多様な遷移段階の天然林の中で様々な調査作業を体験することで、異なる森がどのように成立し、変化しているのか、どんな植物多様性を保持しているのか等を理解することを目的としています。

1日目 9/24(火) 調査対象樹木が何であるかを突き止める(同定)練習、調査対象フィールド・林冠タワーの下見、さらに林冠タワーでの自由研究テーマを決める話し合いが行われました。

2日目 9/25(水) 実験所のアカマツ林、アカマツ―ミズナラ混合林、ミズナラ林の毎木調査、森林植物調査を行いました。

調査地へ向かう。
調査地へ向かう。
図鑑で確認して、樹木同定する。
図鑑で確認して、樹木同定手する。
昨年のデータと照合しながら、樹木の有無、個体数を調べる。生存確認。
昨年のデータと照合しながら、樹木の有無、個体数を調べる。生存確認。
樹木の太さを調べる。昨年からの変化、成長を観察。
樹木の太さを調べる。昨年からの変化、成長を観察。
樹木の高さを調べる。
樹木の高さを調べる。

2日目の夕食

食堂で全員集まって一緒に「いただきます。」
食堂で全員集まって一緒に「いただきます。」
この日の夕食メニューは魚と野菜のホイル焼きとローストビーフのサラダ、お味噌汁、米飯。
この日の夕食メニューは魚と野菜のホイル焼きとローストビーフのサラダ、お味噌汁、米飯。

2日目夕食後

翌日のロープ木登りに使用するハーネスのサイズ合わせ。
翌日のロープ木登りに使用するハーネスのサイズ合わせ。
標本整理やデータ入力、林冠タワー自由研究について話し合う。
標本整理やデータ入力、林冠タワー自由研究について話し合う。

3日目 9/26(木) 受講生が楽しみにしていたロープ木登り、林冠タワーでの調査が行われました。

田中健太先生によるロープ木登りの説明。
田中健太先生によるロープ木登りの説明。
フットループに足をかけ立ち上がりながらハンドアッセンダーを左右交互に手で押し上げて登っていく。
フットループに足をかけ立ち上がりながらハンドアッセンダーを左右交互に手で押し上げて登っていく。
先生の目前でティーチングアシスタントの大学院生(TA)が器具の安全を確認。
先生の目前でティーチングアシスタントの大学院生(TA)が器具の安全を確認。
TAも受講生一人一人に合わせて、登り方を丁寧に説明する。
TAも受講生一人一人に合わせて、登り方を丁寧に説明する。
木登りの中でも1番高いカラマツ。(樹高は25mで、ロープ木登りできる高さは15mほど。)
木登りの中でも1番高いカラマツ。(樹高は25mで、ロープ木登りできる高さは15mほど。)
同じ班の3人、頑張って登り切りました!木の上から、ハイ、ポーズ !!自由研究のテーマに沿って調査も行われた。
同じ班の3人、頑張って登り切りました!木の上から、ハイ、ポーズ !!自由研究のテーマに沿って調査も行われた。
みんなの声援を受けながら、少しずつ上へ上へ。
みんなの声援を受けながら、少しずつ上へ上へ。
次に登る受講生のために素早く準備するTA。
次に登る受講生のために素早く準備するTA。
木登り挑戦中。
木登り挑戦中。
登り切った人が味わえる素晴らしい眺望。
登り切った人が味わえる素晴らしい眺望。
受講生の皆さん、それぞれ頑張って登りました!
林冠タワーに登る前に、スタッフから安全な登り方について詳細な説明を受ける。
林冠タワーに登る前に、スタッフから安全な登り方について詳細な説明を受ける。
林冠タワー、高さ20mからの景色。2015年に建設され、安全整備と規約を整えることにより、学生実習に公開している世界的にもまれな林冠施設。
林冠タワー、高さ20mからの景色。2015年に建設され、安全整備と規約を整えることにより、学生実習に公開している世界的にもまれな林冠施設。
上からタワー内部を覗くと高さを実感。タワー内部中心にアカマツ1個体とツルウメモドキが生えている。アカマツが枯れないように、生育の妨げになるような植物等はスタッフにより、取り除かれ整されている。
上からタワー内部を覗くと高さを実感。タワー内部中心にアカマツ1個体とツルウメモドキが生えている。アカマツが枯れないように、生育の妨げになるような植物等はスタッフにより、取り除かれ整備されている。
それぞれの階(違う高さ)で、自由研究のテーマに沿って、班による調査が行われた。
それぞれの階(違う高さ)で、自由研究のテーマに沿って、班による調査が行われた。

4日目 9/25(金) 大洞 ブナ林の調査

調査地であるブナ林に向かう間に見られる樹木について、さまざまなエピソード、中には小説、童話なども交えながら先生が解説しました。また森林の整備の問題点、対策、実情、森林の変遷、樹木の利用方法等についても説明がありました。

調査地に向かう。
調査地に向かう。
調査地。毎木調査の説明を受けている。
調査地。毎木調査の説明を受けている。
各班が10m四方方形区(10m区)1つと2m四方方形区(2m区)2つを担当する。10m区では過去のデータと照合し、樹木全個体を探して幹の番号を確認する。
各班が10m四方方形区1つと2m四方方形区2つを担当する。10m区では過去のデータと照合し、樹木全個体を探して幹の番号を確認する。
2m区では高木種(ブナ科、カバノキ科、マツ科、カエデ属、サクラ類、クルミ科等)の同定、成長段階ごと・種ごとに個体数を調べる。高木種以外の全ての維管束植物の種名を記録する。
2m区では高木種(ブナ科、カバノキ科、マツ科、カエデ属、サクラ類、クルミ科等)の同定、成長段階ごと・種ごとに個体数を調べる。高木種以外の全ての維管束植物の種名を記録する。
ブナ林の調査地で説明する田中健太先生。
ブナ林の調査地で説明する田中健太先生。
熱心な姿勢で先生の説明に聞き入る受講生。
熱心な姿勢で先生の説明に聞き入る受講生。
ブナの木。
ブナの木。
空と樹葉のコントラストが美しい。
空と樹葉のコントラストが美しい。
帰路。
帰路。

5日目 9/26(土)

初日にアカマツ、ミズナラ、ブナ林の特徴を予想して、最終日、その答え合わせがありました。引き続き、樹木同定試験が行われました。成績に直結するので、真剣な表情です。

【予想しよう】の答え合わせ。
【予想しよう】の答え合わせ。
樹木同定試験。
樹木同定試験。

午後は班ごとに決めたテーマについての自由研究発表会がありました。

初日は例年にくらべて気温が低く、体調管理が難しそうでしたが、2日目以降は天候に恵まれ、快適な環境の中で活動できました。

日を追うごとに、班のメンバーが協力して自由研究発表の準備をしながら結束力を高めていく様子が見られました。

この実習から日本の自然を観る力を養い、全国規模で進んでいる歴史的とも言える陸上植生の大変化を感じとっていただければ幸いです。