三重県で採集された南方系魚類のオカメハゼとクチサケハゼ
2020.6.15
筑波大学生命環境科学研究科の山川宇宙(生物科学専攻後期2年)、筑波大学生命環境系の津田吉晃准教授、神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏学芸員らの研究グループは、三重県の河川で南方系魚類のオカメハゼ Eleotris melanosoma とクチサケハゼ Oligolepis stomias をそれぞれ1個体ずつ採集しました。これらの個体は、2種の標本に基づく三重県初記録となりました。両種は、現在は三重県において越冬・再生産はしていないと考えられますが、今後、地球温暖化の影響などで水温上昇が続けば、越冬・再生産できるようになる可能性もあり、継続的なモニタリングが望まれます。
タイトル(日本語):三重県で採集されたオカメハゼおよびクチサケハゼ
タイトル(英文):The first record of Eleotris melanosoma and Oligolepis stomias collected from Mie Prefecture, central Japan
著者名(和文):山川 宇宙、碧木 健人、津田 吉晃、瀬能 宏
著者名(英文):Uchu Yamakawa, Taketo Aoki, Yoshiaki Tsuda and Hiroshi Senou
雑誌名:南紀生物
巻数・頁:第62巻 第1号 22~25頁
要旨:黒潮が洗う三重県熊野灘側の沿岸域や河川では、より南方の地域に分布し、それらの生息地から分散してきたと考えられる「南方系魚類」が多く記録されている。著者らは2018年11月に三重県の熊野灘流入2河川で採集調査を行い、南方系魚類のオカメハゼ Eleotris melanosoma およびクチサケハゼ Oligolepis stomias をそれぞれ1個体ずつ採集した。これらの個体は、2種の標本に基づく三重県初記録となった。いずれの個体も体長は小さく、未成熟であると判断され、現時点では、2種が採集河川において越冬・再生産を行っている可能性は低いと考えられた。
※KPM-NRは神奈川県立生命の星・地球博物館の魚類画像資料であることを示す記号