東邦大学野外生態学実習が行われる
2021年6月21日~25日、菅平高原実験所にて、東邦大学理学部生物学科による実習「野外生態学実習Ⅰ」が行われました。ご提出いただいた利用報告書の公開許可に基づき、一部抜粋してご紹介します。
実習名:野外生態学実習Ⅰ(東邦大学理学部生物学科、学部2年生対象)
担当教員:下野 綾子 准教授(東邦大学理学部生物学科)
受講人数:11名(学部学生)
●実習・セミナーの内容
日本の生物相が豊かな要因の1つとして「人間による自然の持続的かつ賢明な利用」があったということをふまえて、半自然草原の重要性や、人の介入による植生への効果について学ぶ。
根子岳登山では半自然草原と自然草原の違いや、標高傾度に伴う植生変化について学ぶ。
林冠観測タワーを利用して明るいところの葉(陽葉)と暗いところの葉(陰葉)を比較し、植物の光環境に応じた順化について学ぶ。
●実習の成果
優占種であるワラビを刈取した区と刈取りしていない区の植物種数と多様度指数を比較することにより、人の利用が植生に与える影響について学ぶことができた。
林冠観測タワーを利用して陽葉と陰葉を採集し、葉面積比と縦横比を算出した。陽葉は陰葉に比べて厚い葉であり、植物の光利用に応じた構造変化ついて学ぶことができた。また厚さだけでなく縦横比にも有意差があり、光の利用性は葉の形にも影響することを学ぶことができた。
根子岳登山では、標高傾度に伴う植生変化を学ぶことができた。
●菅平高原実験所を利用した感想など
新型コロナの感染防止対策をとりながらの実習でしたが、消毒液の配布や個室利用など様々な配慮をしていただき、安全な実習ができたことに安堵するとともに大変感謝しています。
宿泊場所、フィールド、実験室が隣接しているので、大変便利です。また人為操作が植生に及ぼす効果や植生遷移を考えるうえで最適の場だと思います。また林冠観測タワーを利用させていただけたおかげで、フィールドにもバリエーションをつけられて、充実した実習にすることができました。スタッフの方々のサポートも手厚く大変感謝しております。
林冠観測タワーを利用して陽葉と陰葉を採集し、葉面積比と縦横比を算出しました。利用できる光の量によって、葉の厚さや葉の形が異なることを学ぶことができました。
根子岳登山では標高にともなう植生変化を学ぶとともに、ササ刈りを行う活動について説明してもらいました。優占するササを除去することで、競争に弱い種も共存が可能になり、多様性の高い植生となることが期待されています。