「里山管理実習」をリポート!
「里山管理実習」をレポート!
7月6日から4日間、山岳科学センター筑波実験林を中心に「里山管理実習」が行われました。
1日目
スイレンの除去をする前に調整池の水質調査を行いました。
きれいに咲いて美しいスイレンですが、水面下では根がびっしり広がっています。浅い箇所にも見えないところに落とし穴(根のない箇所)があるので、指導教員たちも後ろで見守ります。溶存酸素量の計測と採水の後は、足元をとられないよう注意を払いながら長柄のカマでスイレンを刈ります。
その後、実習室で水質を計測。pH、EC計、透視度計を使用します。
調整池の水性外来生物を捕獲するためトラップを設置します。エサは解凍したアメリカザリガニ とブルーギル。臭いで誘引します。池の周り6箇所にエサを仕掛けたトラップを設置。どんな生物が入るでしょうか。
2日目
車で学内の管理区域へ移動し、別の池の調査を行います。普段ここは施錠され立ち入ることができませんが、調査のため特別に鍵を開けていただき、淡水カメを捕らえるためのトラップを設置します。息継ぎができるようトラップは半分浮かせます 。
前日調整池に沈めていたトラップを回収し、水生生物の同定、計測を行います。今回はアメリカザリガニが多く確認されました。ザリガニは雌雄と数、重さ、頭胸甲長を確認後、次回調査のためのエサとして役立ってもらいます。
午後はクヌギ・コナラ林の枝打ち、下刈りを行いました。
スイレン刈りでも使用した長柄のカマを使います。要領を得てくると力を使わずに手早く下刈りができます。山や森は広範囲なので、少ないエネルギーで広く刈れる技術は必須です。手際良くどんどん下刈りがすすみ、腰の高さまであった雑草がすっかり刈り払われました。
きれいに下刈りをした後は、区画内の木の毎木調査です。1本1本に番号を付け、胸高直径と樹高を測っていきます。
3日目
前日に仕掛けたカメ用のトラップを回収し、カメ類の同定・外部計測をしました 。
次は1日目と同じように調整池の水を採り、水質の調査を行いました。
スイレンを除去する前と後で水質がどのように変化するのかを調べます。
午後は外へ移動、次は竹を切ります。さて、何のために竹を切っているのでしょうか。
釣り竿です!
前日捕獲したザリガニをエサに『外来生物の駆除』を行います。ブルーギルとバスを釣り上げました。もちろん、これらの魚も計測し、記録します。(今回は実習の一環として駆除目的の釣りを実施しましたが、筑波実験林内での釣りは禁止です。)
4日目
大学を離れ、近くの田んぼで水生昆虫の調査を行いました。(許可を得て調査を行っています。)
用水路には淡水エビ、アメリカザリガニが多く確認され、田んぼの中にはタニシなどの巻貝、コガムシ、ミズカマキリなどがみられました。
途中、アライグマの作物被害があるという農家の方に、アライグマ捕獲目的のための箱罠を見せていただきました。(茨城県では現在アライグマの被害対策が進められています。捕獲された個体は各自治体により回収されます。)
実習室にもどって、見つけた水生生物の同定調査、記録をし、これで野外での実習は終了です。
コロナ禍の対面実習でしたが、安全対策を講じ、無事実習を終えることができました。