山形県および新潟県、富山県で採集されたカワアナゴ
2023.6.20
筑波大学生命環境科学研究科の山川宇宙(生物科学専攻博士課程後期)、筑波大学生命環境系の津田吉晃准教授(菅平高原実験所・八ヶ岳演習林)、神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏学芸員の研究グループは、山形県および新潟県、富山県の河川でカワアナゴ科魚類「カワアナゴ Eleotris oxycephala」を採集し、南紀生物同好会が発刊する会誌「南紀生物」で報告しました。
カワアナゴは、主に南日本の河川に生息する、カワアナゴ科の魚です。生まれた直後に海に下り、海流に乗って分散して、また河川に入って成長する、「両側回遊」と呼ばれる生活史を送ります。近年、地球温暖化による水温上昇が原因で、本種の生息地は、特に本州の日本海沿岸の河川において北上傾向にあります。
第1著者は2022年10月に山形県および新潟県、富山県の河川において、魚類の採集調査を行いました。その結果、5河川でカワアナゴが採集されました。これらの結果は、山形県と富山県では本種の標本に基づく初記録、新潟県では2例目の記録となりました。
今後も地球温暖化の影響により、日本海沿岸でのカワアナゴの出現事例は増えていくかもしれません。そのため、引き続き、同地域で継続的に採集調査を行い、出現状況をモニタリングしていくことが望まれます。
タイトル(日本語):山形県および新潟県、富山県で採集されたカワアナゴ
タイトル(英文):The sleeper Eleotris oxycephala collected from Yamagata, Niigata, and Toyama prefectures, Japan
著者名(和文):山川 宇宙、瀬能 宏、津田 吉晃
著者名(英文):Uchu Yamakawa, Hiroshi Senou and Yoshiaki Tsuda
雑誌名:南紀生物
巻数・頁:第65巻 第1号 43~45頁
出版日:2023年6月10日