モデル生物多様性公開実習を開講
2025年9月1日〜5日にかけて、学部生を対象とした「モデル生物多様性公開実習」が開講されました。本実習は、筑波大学山岳科学センターの教育関係共同利用拠点公開実習として実施されており、他大学の学生も履修可能です。今回は、筑波大学生物学類から16名、障害科学類から1名、さらに京都大学理学部から1名の、計18名が参加しました。
本実習の目的は、野外においてモデル生物種およびその近縁種の多様性を実際に観察・体感し、自然の生態系が育んできた興味深い生命現象や、そこに生きる多様な生物との関わりについて理解を深めることにあります。実習では、身近に存在しながらも普段なかなか目にすることのない酵母、変形菌、ハダニ、線虫など、いわゆる“マニアック”な生物の多様な生き様に触れていただきました。そして最終日には研究計画発表を通して、実習で得た知識や経験を、自らの日常の視点やこれからの研究と結びつけ、理解をさらに深めていただきました。
実習期間中、参加者は、林冠タワーへの登頂や腐肉トラップの回収といった、やや特殊な活動にも積極的かつ興味を持って取り組んでいました。最終日の研究計画発表も、個性あふれる素晴らしいものでした。
モデル生物は、入手や飼育が容易であるがゆえに、生物としての実感が薄れがちです。しかし、本実習が、モデル生物もまた長い進化の歴史を持つ生物であり、生物群集の構成員であるということを(再)認識する機会となれば幸いです。
(文 佐藤幸恵)
