地震波形で地すべりの発生を効果的に探す

筑波大学生命環境系・山岳科学センターの奥脇 亮 (国際テニュアトラック助教) は、カルフォルニア大学サンディエゴ校、京都大学防災研究所、リーズ大学の研究者らとの国際共同研究により、日本列島および日本周辺の地震観測網で捉えられた地震波形データを用いて、地すべりなど地震以外の震源を効果的かつ簡便に検出する新しい手法を開発しました。また、この手法を実際に観測された地震波形データに適用し、地すべりの発生位置と発生時刻を特定することにも成功しました。

地すべり発生の特定に用いたのは、2011年台風12号(タラス)の通過時に観測された地震波形データです。台風12号による豪雨で引き起こされた複数の地すべりの発生源を検出しました。検出した地すべりのうち、静岡県の山間部で発生した地すべりは、規模が長さ・幅ともに100 mスケールの小さな地すべりでしたが、日本列島から台湾付近まで3000 kmもの長距離にわたって効率的に地震波を伝播していました。このようなケースが確認されたのは初めてです。

地すべりの発生場所は急峻な山間部であることが多く、また規模の大きな地震や集中豪雨などがきっかけとなるため、地すべりの発生位置や時刻の早期特定、発生機構を解明するための現地調査は容易ではありません。本研究は、地震波形データを用いることで、そうした地すべりの発生位置・時刻を遠隔かつリアルタイムに検出することを可能にするものです。地すべり災害の早期発見や災害リスクの軽減に貢献することが期待されます。

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*掲載雑誌 >> Geophysical Journal International (DOI: 10.1093/gji/ggab129)

*論文プレプリント >> DOI: 10.31223/osf.io/3cxqz