開催報告|冬の自然観察会 冬の生き物たちと大明神の滝

2024年2月3日、菅平高原実験所にて、冬の自然観察会「冬の生き物たちと大明神の滝」を開催しました。このイベントは実験所ボランティアスタッフ「菅平ナチュラリストの会」(以下、ナチュラリスト)が企画しガイドを務め、技術職員2名がサポートしました。

この冬の菅平は例年より降雪が少なく、当日の朝は前の週からの雪が固く締まっており、足元が滑りやすいのではないかという心配がありました。そこで、観察会の開始前にナチュラリストの松崎務さんと金井隆治(生命環境系技術室 技術専門職員)が観察道を歩き、安全を確かめたうえで実施しました。

この日は一般28名が参加し、東京、群馬、千葉、茨城、神奈川と、県外から来られた人もいました。ナチュラリストは14名で、ガイドを目指して勉強中の「ナチュラリスト基礎講座」受講生4名も同行しました。

曇り空のスタートでしたが次第に太陽が出てきて、後半は快晴の観察会となりました。一行はウサギやキツネの足跡、オニグルミやホオノキの冬芽、雪のうえに落ちているシラカバ・ウリハダカエデなどの種子や果実を観察しながら、雪原、林、谷沿いの道を進みました。そして、最奥の大明神の滝(実験地内のため通常非公開)に到着しました。

滝は凍っていました。昨年より氷の層は薄く、そのためなかを通る水の流れが透けて見えました。参加者は記念写真を撮るなど、滝のまわりでくつろいでいました。

帰路も周囲を観察しながらゆっくりと歩きました。大明神寮そばでは樹皮についた地衣類や樹上のヤドリギについて、ナチュラリストが解説していました。

今回の観察会では珍しいことに、雪上を走るテンやニホンリス、キジを見ることができたグループがいました。また、参加者に海外からの留学生がおり、ナチュラリストが専門用語を電子辞書で調べながら、英語で対応していました。

観察会の最後に参加者から感想を聞いたところ、「動物の足跡が見られて楽しかった」「滝がきれいだった」「落葉痕が勉強になった」「地衣類という言葉を初めて聞いた」といった声が寄せられました。「時間が短かった」「観察会の回数を増やしてほしい」といった声もあり、ナチュラリストへの期待の高さがうかがえました。

参加者が帰ったあと、ナチュラリストは反省会を行いました。ペース配分や、1人のガイドが担当する参加者の人数など、概ねうまくいった一方で、滝が一時混みあってしまったという意見もありました。

全体を通して、参加者もガイドも笑顔あふれる、素晴らしい一日となりました。冬の観察会としては雪が少なく、ガイドにとっては難しさもある状況でしたが、ナチュラリストはこれまでの経験を活かして楽しい時間を作り出していました。

次回の観察会は7月に実施予定です。皆様のご参加をお待ちしています。

雪原を進む
雪原を進む
ナチュラリストが冬芽などを解説
ナチュラリストが冬芽などを解説
リョウブの枝には小さな果実が残っていた
リョウブの枝には小さな果実が残っていた
谷沿いの道
谷沿いの道
大明神の滝に到着
大明神の滝に到着
氷の外から水の流れが見えた
氷の外から水の流れが見えた
参加者に声をかけるナチュラリスト(先頭)
参加者に声をかけるナチュラリスト(先頭)
地衣類の観察
地衣類の観察
オニグルミの樹皮についた地衣類をルーペでみる
オニグルミの樹皮についた地衣類をルーペで見る