長野県木曽地域のツキノワグマの遺伝的多様性と遺伝構造を解析

津田吉晃准教授(菅平高原実験所・八ヶ岳演習林)、長野県環境保全研究所、京都大学、森林総合研究所、株式会社環境アセスメントセンターのグループが、長野県木曽地域を対象に、ツキノワグマの体毛から抽出したDNAを用いて、雌雄判別を行い、また遺伝的多様性および遺伝構造を調べました。その結果、雌雄で分布場所が異なることがわかりました。これについて、雄クマはより食料資源に恵まれたコナラ類の広葉樹林にいる一方、子連れの母クマは雄との遭遇を避けるために、食料資源は乏しいがより安全なカラマツ林に生育していると考察しました。遺伝的多様性の重要な指標となる有効な集団サイズは大きくないと考えられ、今後の継続的な遺伝的多様性モニタリングの必要性が示唆されました。本研究成果は、長野県におけるツキノワグマの地域内の遺伝構造を初めて明らかにしたものであり、今後、実際のクマ保護管理への活用を進める予定です。

クレジット:長野県

論文情報 (オープンアクセスで、どなたでもご覧になれます):
Ririko Koido, Masayuki Yagyu, Asuka Miyazawa, Naoki Ohnishi, Misako Kuroe, and Yoshiaki Tsuda “Local Genetic Diversity and Structure of Asian Black Bear, Ursus thibetanus, Populations in Nagano, Japan,” Mammal Study 51(2), 113-127, (25 March 2026). https://doi.org/10.3106/ms2025-0029