開催報告|第1回まちなか自然博物館
2026年9月5日と6日、まちなかキャンパスうえだ(長野県上田市)にて、「第1回まちなか自然博物館」を開催しました。このイベントは筑波大学令和8年度社会貢献プロジェクトとして実施し、上田市が共催しました。
イベントでは、上田市の中心部(まちなか)で自然にふれてもらおうと、野山で採取した植物やキノコなど多くの生き物の実物を展示しました。展示は大きく8つのテーマに分け、「①植生の移り変わり」では裸地から森林へと自然が移り変わるようす、「②草原」では菅平のススキ草原、「③草原の調査」ではススキ草原の植物量と動物数の調査結果、「④森林」では樹木や林床のようす、「⑤いろいろな果実」ではどんぐりや松ぼっくりなどを展示しました。また、「⑥菅平湿原」では菅平湿原の成り立ちとそこに生きる貴重な動植物を紹介し、外来種の侵入や湿原の乾燥化といった課題も取り上げました。
さらに、長野県内には県立の自然史博物館がないことから県外の自然史博物館について知ってもらおうと、「⑦博物館紹介」ではミュージアムパーク茨城県自然博物館と群馬県立自然史博物館をポスターで紹介しました。あわせて、かつて地域博物館とビジターセンターにする構想のあった菅平高原自然館についても紹介しました。また、「⑧映像」では、茨城県自然博物館の常設展示と今年6月まで開催されていた企画展示、標本や剥製などたくさんの資料が保管されている植物収蔵庫・動物収蔵庫・地学収蔵庫のようす、群馬県立自然史博物館の常設展示、菅平高原自然館の展示紹介をスライドショーで映しました。
ほとんどの展示物は菅平高原実験所ボランティアスタッフの「菅平ナチュラリストの会」有志(以下ナチュラリスト)が制作しました。4月、ナチュラリストは5つの班に分かれて検討を開始しました。展示の内容を考えたり、ポスター・模型・植生遷移を説明するジオラマを制作したり、果実を収集したり、自然のなかにいるかのようにレイアウトを工夫したり、来場者に楽しんでもらえるよう時間をかけて準備を行いました。また、このイベントではレプリカや標本ではなく、生の状態の植物やキノコを展示する方針としたため、それらは前日などイベント直前に採集して会場設営を丸一日で行い、当日を迎えました。
二日間のイベントには上田市内外から251人が訪れ、小さな子どもを連れたご家族から年配の方まで、幅広い層が来場しました。会場には展示した草木の香りがあふれていて、来場者は「まちなかに森が広がっているよう」と話していました。ナチュラリストは交代で各コーナーにつき、来場者に解説をしました。解説はとても好評で、来場者は質問したり談笑したりしながら会場を見学していました。気に入った展示の前では長く足を止める方が多く、展示スペースだけで1時間近く滞在した方もいました。
ところで、今回は展示に加えて2つのワークショップも開催しました。1つは「顕微鏡観察」で、植物、昆虫、岩石、変形菌、地衣類などを実体顕微鏡で観察してもらいました。年代を問わず非常に好評で、滑らかと思っていた昆虫に短い毛がたくさん生えていることに驚く子ども、変形菌を見て喜ぶ年配者、なかには3時間近く岩石を観察し続けた小学生もいました。来場者からは、「このようなコーナーを常設してほしい」「自宅に顕微鏡を置きたいがどうしたらよいか」といった声が聞かれました。もう1つのワークショップは「ジオラマ作り」で、モール、毛糸、ワイヤー、人工芝を材料に、生き物や自然を自由に作ってもらいました。子どもを中心に多くの方が参加し、花や昆虫作りを楽しんでいました。
来場者からは、「まちのなかでこんなにたくさんの植物が見られるとは思わなかった」「菅平湿原のことを初めて知った」「来年も続けてほしい」といった感想が寄せられました。企画側としてもたくさんの方が来場し、滞在時間も長く、連日足を運んでくださった方もおり、成果を感じることができました。ナチュラリストとともに今回の振り返りを行い、来年もこの会場で第2回を実施できるよう検討したいと思います。
本件については9月4日および5日放送の上田ケーブルビジョン、9月5日の信濃毎日新聞デジタルおよび9月9日発行の信濃毎日新聞東信版紙面、9月8日発行の信州民報で報道されました。
- 上田ケーブルビジョン まるっと0268 9月4日 第1回まちなか自然博物館の準備・他(UCVレポート)
- 上田ケーブルビジョン 菅平の自然を体験 初開催 まちなか自然博物館 まちなかキャンパスうえだ(UCVレポート)
- 信濃毎日新聞デジタル 商店街で菅平高原の動植物を展示 生物の多様性を体感 上田市

会場のまちなかキャンパスうえだ

「植生の移り変わり」コーナー。植生遷移のモデルを示したジオラマはナチュラリストの力作!

菅平の草原を表現した「草原」コーナー

菅平高原実験所の学生が作製した昆虫標本

よく見ると虫たちが隠れています

「草原の調査」コーナーでは、ススキ草原の植物の種類と量、そこにすむ小さな動物を展示

たくさんの方が虫眼鏡で、とても小さな虫を興味深そうに見ていました

樹木を中心に展示した「森林」コーナー

森林で見られる昆虫があちこちに

本物のキノコたち。イベント二日目はしおれてしまったものもありました。

菌類、地衣類、変形菌の解説

「いろいろな果実」コーナーでは、たくさんの果実を手に取ってもらいました。

たくさんの松ぼっくり。手書きの説明も。

「菅平湿原」コーナーではナチュラリストが制作したポスターを中心に展示

来場者にはナチュラリスト(左端)が丁寧に説明

「博物館紹介」コーナーでは茨城県自然博物館、群馬県立自然史博物館、菅平高原自然館を紹介

「映像」コーナーでは茨城県自然博物館の展示と収蔵庫、群馬県立自然史博物館の展示、菅平高原自然館の展示をスライドショーで紹介

「ワークショップ」コーナー

顕微鏡観察コーナーではたくさんの人が昆虫や岩石の観察を楽しんでいました(右端と左端はスタッフ)。

ジオラマ作りコーナーは子どもに大人気でした

高山蝶と絶滅危惧種の蝶のパネルについて説明するナチュラリスト(右端)

剥製や標本など、ナチュラリストのコレクションを展示したコーナー








